日清食品は9月8日、公式サイトに「弊社商品のCM撮影に関するお詫び」を掲載し、ここ数日ネットで騒動となっていた槍ヶ岳での「ラ王」CM撮影を巡るトラブルについて謝罪した。該当のCMは放送自粛と、新たな内容への変更を決定したという。
この騒動は新聞に掲載された67歳男性の投書がきっかけ。その内容は北アルプス・槍ヶ岳に登山した男性が山頂に到達する手前で、「食品会社のテレビコマーシャル用の撮影」に遭遇し、登頂を阻止されたというものだ。男性は山頂の絶景を期待していたのに、CM撮影で待たされている間に雲が広がってしまったこと、山頂にいて下りるように指示された登山者がいたことなどを挙げながら当時の状況を説明し、「山頂で撮影が行われることは、事前に誰からも登山者に説明や協力要請はありませんでした。山頂の私物化に憤りを覚えました」と結んでいた。
紙面の投書欄を撮影した写真がネットに出回ると、2ちゃんねるを中心に激しい批判が相次いだ。投書に記されていた「狭い山頂では、ちゃぶ台を置いて男性タレントがラーメンを食べる所作をしていて」という、出演者が“男性タレント”であるとの情報や、同じ日に槍ヶ岳でCM撮影に遭遇したと報告しているブログなどの情報から、「ラ王」のCM撮影だったことが割り出され、炎上状態となっていた。
こうした騒ぎを受けて掲載された「弊社商品のCM撮影に関するお詫び」では、「このたび弊社商品『日清ラ王』のCM撮影に関連し、多くの皆様に多大なご迷惑をお掛けいたしましたことをお詫び申し上げます」と謝罪。撮影は8月3日に槍ヶ岳山頂で「地元山岳ガイドの方からの情報も得て、なるべく登山者の少ない時間帯」に行われたという。
また、ヘリコプターによる空撮を約30分間行い、その際には撮影クルーが登山者に協力を要請、一部の登山者を待たせる格好となったが、「ご協力のお願いは、一部で言われているような、登山者を排除しようとする意図はございませんでした」と釈明している。
そして「お待ちいただいた登山者の皆様には、事前の説明不足から予定の変更等、大変なご迷惑をおかけしましたことを心よりお詫び申し上げます。また、多くの皆様には、ご心配をおかけするとともに不快な思いをさせてしまいましたことを重ねてお詫び申し上げます」と謝罪している。
「ラ王」は8月2日に、18年間続いた生タイプめんバージョンの生産を終了。同24日に主にめんを改良した新生「ラ王」が発表され、9月6日に発売(関東甲信越・静岡地区先行)されたが、「ラ王、終わる。」の広告でブランド終焉をにおわせながらもすぐに“復活”し