横浜市西部に広がる米軍施設跡地で、東京ディズニーランド(TDL)並みの規模がある大型テーマパークの構想が持ち上がっている。相鉄ホールディングス(HD、本社・横浜市)が民間地権者との検討に参画し、市は公共交通機関の新設や区画整理で後押しする。現時点で少なくとも1300億円規模の投資が見込まれており、大部分が公金でまかなわれる可能性がある。ただ、事業者の誘致の成否は不透明だ。
構想の舞台は、横浜市瀬谷(せや)、旭両区にまたがる米軍上瀬谷通信施設跡地(約242ヘクタール)。東京ドーム52個分の広大な土地は戦後まもなく接収され、2015年に返還された。民有地と国有地が各約45%、市有地が約9%を占め、現在は露地栽培を中心とした農地や草地が広がる。防衛省南関東防衛局によると、平成以降に全面返還された米軍施設では全国で最大規模だ。
テーマパークが構想されているのは、約240人の地権者でつくる「まちづくり協議会」と横浜市が「観光・にぎわいゾーン」とすることで合意した約125ヘクタール。朝日新聞が入手した内部資料では、相鉄HDが昨年4月、「テーマパークを核とした観光開発」を「ベスト案」とする土地活用策を協議会に提案。海外の調査会社に委託調査した結果として、居住人口や観光客が多い首都圏に立地する条件などから、「超大型テーマパーク」の実現可能性があるとしていた。
年間入場者650万~1300万人、東京ディズニーランド、東京ディズニーシー(いずれも千葉県浦安市)、ユニバーサル・スタジオ・ジャパン(大阪市)といった規模を想定する。
横浜市によると、協議会はその後、他の複数企業からも土地活用策の提案を受け、最終的にテーマパークを中心に検討することを決定。相鉄HDは同10月、協議会の「検討パートナー」に選ばれた。
これを受けて林文子市長は同12月、「テーマパークを核とした複合的な集客施設」を誘致する考えを表明。市は農業振興などの他ゾーンを含め、将来的に年間1500万人が訪れるまちづくりを進めるという。
複数の市関係者によると、テーマパークの事業者として、米大手映画会社の名が挙がっている。