横浜市、傾斜マンションに違反認定へ 建築基準法で初

くい打ちデータ偽装問題の発端となった横浜市都筑区の傾斜マンションについて、横浜市が建築基準法違反を認定する方針を固めたことが15日、分かった。事 業主側の検証結果を精査した結果、傾いた棟は一部のくいが強固な地盤に到達していない施工不良のため、長期的に十分な支持力がなく、中規模地震で損傷する 恐れがあると判断した。昨年10月の問題発覚以来、同法が定める耐震基準を満たしていない疑いが指摘されていたが、認定されるのは初めて。

国土交通省は今年1月に、建設業法に基づいて、元請けの三井住友建設と下請け業者2社を指名停止や営業停止などの行政処分にしている。同マンションの建築基準法違反認定を受け、国交省は改めて3社の行政処分を検討する見通しだ。

同マンションをめぐっては今年6月、三井住友建設と事業主の三井不動産レジデンシャルが「(傾いた棟は)震度5強の中規模地震で一部の部材が損傷する可能性がある」とする検証結果を同市に報告した。同市は、報告や構造計算書などの精査を進めていた。

同市は昨年12月、同マンションの構造耐力の適合性について、事業主側に第三者機関の意見も踏まえた検証結果を報告するよう指示していた。建物が沈み込 んだりする長期荷重への耐久性と、中規模地震時の損傷の可能性がポイントだった。また、昨年11月には、事業主側が同マンションについて「大規模地震(震 度6強~7)で倒壊・崩壊する可能性はない」と報告。同市はこれを認め、「住民の避難勧告の必要性はない」としていた。

事業主側は同マンションの全棟建て替えを提案。住民側は9月に決議を行う方向で手続きを進めている。

タイトルとURLをコピーしました