先月に75歳で亡くなった女優の樹木希林(本名・内田啓子)さんが、出版社・宝島社が29日に読売新聞と朝日新聞の朝刊に掲出した2つの企業広告に起用されたことが、わかった。樹木さんは2016年1月の同社の企業広告「死ぬ時ぐらい好きにさせてよ」にもモデルとして出演しており、同社は「世の中に向けて、樹木希林さんからの最後の言葉として2つのメッセージをつくりました」と広告の意図を明かした。
読売新聞には「サヨナラ、地球さん。」をメインコピーに、今年撮影され遺影ににも使用された写真に、エッセイストで女優の内田也哉子(42)の舌を合成した写真を使用。アインシュタインの有名な写真を連想させるビジュアルで、地球と最後にお別れする樹木さんのチャーミングな表情が作成された。
朝日新聞には「あとは、自分で考えてよ」というコピーとともに、2016年にプライベートで撮影された夫の内田裕也(78)や也哉子、也哉子の夫で俳優・本木雅弘(52)らが集結した“内田ファミリー”の写真を掲載。「絆というものを、あまり信用しないの。期待しすぎると、お互い苦しくなっちゃうから」「わたしの話で救われる人がいる?それは依存症というものよ」など、樹木さんの生前の数々の言葉を添えられている。
樹木さんは前回の広告について「死ぬということは悪いことではない。当たり前のこと。『生きているのも日常、死んでいくのも日常』。私はちゃんと見せていきたい。そういう事を伝えるのも、死んでいく者のひとつの役目(仕事)かなぁと思いやらせてもらうことにしました」と語っていた。
同社は「どう生きるか、そして、どう死ぬかに向き合った樹木希林さんの、地球の人々への最後のメッセージ。どう生きるか、どう死ぬかについて、あらためて深く考えるきっかけになれば幸いです」と今回の広告への思いを明かした。
前回の広告は多数の広告賞のグランプリを獲得し、グッドデザイン・ベスト100にも選ばれた。今回もインパクトのあるコピーと写真で、多くの人々の心に残る広告となっている。