歌手稲垣さん がれきで作った太鼓を女川の団体へ

 仙台市出身の歌手稲垣潤一さん(59)が19日、女川町を訪れ、大太鼓1張りを寄贈した。東日本大震災で発生したがれきの木材を使って作られた太鼓は、町内の太鼓団体「女川潮騒太鼓轟会」に提供される。
 稲垣さんは、美里町在住の音楽プロデューサーで作曲家の佐藤三昭さん(45)らが、がれきの木材を使った楽器作りに取り組む「ゼロワン瓦礫(がれき)再生プロジェクト」に賛同。ファンの寄付などによる「稲垣潤一東北サポート基金」を活用して太鼓を購入した。町や佐藤さんの仲立ちで轟会が使用できるようになった。
 町総合体育館で行われた贈呈式には、須田善明町長や轟会の斎藤成子代表(49)らが出席。稲垣さんが目録に代わり、太鼓にサインをした。稲垣さんは「形として見えるものを贈ることができ、ファンも喜んでいる。震災の記憶を風化させない一助になればいい」と語った。
 斎藤代表は「震災で大小38張りあった太鼓は全て水をかぶった。修復したものもあるが、これだけ大きな太鼓を使うことができ、本当にありがたい」と話した。
 太鼓の初打ちは来年1月13日、町の成人式で行われる。ばちを握るのは新成人で斎藤代表の次男弘貴さん(20)。そろって成人式を迎えるはずだった親友ら3人が震災の犠牲になった。
 弘貴さんは「太鼓の響きが天まで届くように」との祈りを込めて太鼓をたたく。

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