建設業の倒産増に歯止めがかからない状況だ。帝国データバンクの調査によると1~8月に発生した建設業の倒産は1082件。すでに22年全体の1204件に迫る勢いで、同社は「このペースで推移すると年内の建設業の倒産は1600件を超え、過去5年で最多となることが確実となった」とコメントした。
●倒産の要因は「物価高」
倒産の要因としては、長引く物価高の影響が挙げられる。また、職人の高齢化に加え、若手や新卒人材の応募が少ないなどの人材不足も目立った。給与に不満を持つ建築士や施工管理者などの従業員の離職・独立により、工事の受注や施工そのものがままならなくなった中小建設業者の倒産が目立ち始めている。
同社の調査では、建設業の68.3%で人手が不足しており、うち5%の企業は「非常に不足している」状況だ。コロナ前の19年の割合を上回り、職人不足の影響が建設現場で深刻になっている。
24年4月からは時間外労働の上限規制が建設業にも適用されるため、人手不足はさらに深刻化するとみられている。帝国データバンクは「都市部の大規模再開発などに職人が引き抜かれるケースが増える中、地方では業者の淘汰や人手不足により『家が建てられない』『道路の修繕が進まない』といった事態が多発する可能性が高まっている」と指摘する。
調査は、負債1000万円以上で法的整理による倒産を集計対象に実施した。集計期間は1月1日~8月31日。