【from Editor】
ニッポンがおかしい。そう思わせる出来事が多すぎる。
「尖閣衝突、船長を釈放」。この超法規的措置は那覇地検が「日中関係を考慮し決めた」とされる。仙谷由人官房長官も「地検が判断」と言ってはばからない。国益を左右する重要事項を地検に決められてはたまらない。「政治主導」はどこへ行ったのか。
「露大統領が国後訪問」。駐露大使の一時帰国までは良かったが、大使の説明は「国内向けの指導力誇示」とロシア側に立ったようなものだった。これについては作家の佐藤優氏も5日付本紙で「分析が完全に間違っている」と断言している。まさに隣国からの波状攻撃だ。“敵”がどこで“味方”はどこか、子供でも分かる。
「朝鮮学校の無償化確実」。金日成・正日父子を奉り、反日教育を続ける学校の教育内容は「不問」にし、汗水たらして払った国民の血税を投入するという。北朝鮮は3代にわたる権力世襲が決まり、横田めぐみさんら同胞が拉致されている国である。拉致に関する進展が全くない中、無償化だけは異常な熱心さで決定の運びとなった。これで得をする人間がいると訝(いぶか)りたくもなる。
さらに日本の正義を担保する「特捜の改竄(かいざん)」「公安の情報流出」「尖閣ビデオ流出」と続く。後者についてはタガの緩みきった政府や組織に対する「義憤」との見方もあるが、国家的信頼を大きく傷つけたのは否定できない。
底なしの「円高」も忘れてはならない。想定レートを1ドル=80円に修正した苦渋の大企業はもとより、中小企業の悲鳴はとまらない。日銀の無策もさることながら、日米関係が正常だったらここまで円高は進んだろうか。
極めつきは「司法で取り上げているものを立法府が議論するのは妥当でない」と語り、政倫審出席を拒否した小沢一郎元民主党代表である。何年、政治家で飯を食っているのか知らないが「政治家の出処進退」が分からないらしい。
政府、政治家、省庁、検察、警察…国家がメルトダウン(溶融)している。これらの出来事はいずれも昨年9月の民主党政権誕生以降に起こったものである。衆議院の任期は4年もある。これをまっとうした場合、「失われた10年」どころか、日本にとって未来永劫(えいごう)取り返しのつかない損失になりはしないか。
このままでいいのか、と自問しながら紙面を作る日々は続く。答えは決まっているのだけれども。(副編集長 黒沢通)