「理想的な排便の姿勢をご存知ですか?姿勢をちょっと変えるだけで、排便しやすくなるかもしれません」――便秘に悩む人に向けて制作されたパンフレットがツイッターで注目を集めた。資料を拡散したユーザーは「義務教育で教えて欲しいと思った」などと感動を伝える。
J-CASTニュースは2022年2月16日、資料を制作した製薬会社「EA ファーマ」(東京都中央区)を取材した。
理想的な排便姿勢/画像:EA ファーマ提供
「理想的な姿勢」は前かがみ35度
話題となったのは、EA ファーマが21年4月に制作した「気軽に行って、気軽に話そう。Benpi」というパンフレットだ。便秘の原因、病態、治療、医療機関を受診する際に伝えるべきことなどを紹介する。横浜市立大学附属病院の中島淳主任教授が監修した。患者向け疾患解説資材の冊子として医療機関で配布されているほか、EA ファーマの公式サイト上で公開されている。
ツイッターで注目を集めたのは、「おトイレワンポイント」という特集で、次のような姿勢が理想的だと伝える。
洋式トイレにおいては、姿勢は前かがみ35度、足元に台を置くと効果的。両肘は太ももの上に置き、背筋は伸ばし腹筋にだけ力を入れる。すると直腸から肛門に向け折れ曲がっている腸がまっすぐに近くなり、便が出しやすくなるという。また和式トイレの前かがみ姿勢も理想的だとした。
ツイッターでこの説明を紹介したユーザーは、内科の待合室でパンフレットを手にしたという。取材に対し「今まで全く聞いたことがなかったトイレの正しい姿勢が科学的な根拠と共に説明されており、目から鱗だった」と驚きを伝える。ツイートは2022年2月17日15時までに、3万8000件のリツイート、8万9000件の「いいね」が寄せられ「参考になる」「教科書に乗せるべき」などと話題になった。
便秘は、病態も悩みもさまざま
EAファーマは、エーザイグループと味の素グループの消化器事業が2016年に統合し、発足した会社だ。取材に対し、パンフレットを制作した背景や狙いについて、こう述べる。
「便秘で悩む方、ご家族が便秘で悩んでいる方に向けて、その原因、病態、治療、医療機関を受診する際にお伝えすること、トイレでの排泄のコツをまとめた冊子があれば、秘め事でもある排泄のお悩み解決の一助になればという思いで作成いたしました。
便秘は、病態も悩みもさまざまです。その悩みに気付いていただくことができたら?と考えたことも、作成のきっかけの一つです」
日本消化器病学会関連研究会が編集した慢性便秘症診療ガイドライン(2017年)によれば、便秘は「本来体外に排出すべき糞便を十分量かつ快適に排出できない状態」と定義されている。EAファーマは、便が出る、出ないだけでなく、快適に排便できているか、便の形を整えることも重要だと訴える。
SNSで資料が話題になったことを受けては、「率直に驚いておりますが、我々の発信した情報がこのような形で多くの方の目に触れていただくことができ光栄です」と喜びをあらわにする。
「慢性便秘症は加齢と共に有病率が増加する疾患であり、高齢になると男女差がなくなる疾患です。SNS の利用者は、若い方も多くいらっしゃいますが、若年者から高齢者まで興味を持っていただき、疾患に対する理解が広まることはお悩みをかかえている患者様に役立つと考えております」
(J-CASTニュース編集部 瀧川響子)