仙台市内で企業名の付いた歩道橋が増えている。市が命名権(ネーミングライツ)を販売し、企業に応募の動きが広がっているからだ。今月1日には新たに9 カ所で優先交渉権者が決まり、新年度からは計20カ所になる。命名権販売による市の収入は年間約800万円に増える見込みで、道路維持に欠かせない財源と なりつつある。
「仙台不動産情報館 今野不動産」。車がひっきりなしに行き交う宮城野区五輪の市道に、企業名が書かれた歩道橋が架か る。今野不動産(青葉区)が市の公募に応じ、昨年7月に掲示を始めた。「車社会の仙台ではPRになる。地域貢献にもなり、費用対効果は十分」と担当者は話 す。
命名権を得た企業は不動産業が多い。平和住宅情報センター(泉区)は新年度、青葉、太白両区の2カ所に掲げる予定。担当者は「公共施設に掲 示されれば企業イメージが上向く。道路維持の財源になり社会貢献もできる」と強調する。ほかにも葬祭会社やバス会社、質屋などが命名権を獲得しており、い ずれも販売エリアで自社を売り込む。
市が命名権販売を始めたのは2014年度。大阪、名古屋両市などの先行事例を参考に、市管理の国道や県道、 市道の歩道橋を対象に入札で命名権者を決めている。料金は年間30万〜60万円で契約期間は最低3年。7年の長期契約を結ぶ例もあり、昨年11月の公募で は競争率4倍になった例があったという。
市内では、現在の国道4号と国道48号のうち中心部を走る一部区間が4月から、市管理に変わる予定。こ うした交通量の多い幹線道路の歩道橋は一段と注目されそうで、市道路管理課は「道路維持の財源を確保するためにも、対象の歩道橋を増やしたい」と、命名権 販売の対象として検討していく考えだ。