昨年1年間に交通死亡事故を起こした75歳以上のドライバーの2人に1人が、認知症や認知機能低下の恐れがあると判定されていたことが警察庁のまとめでわかった。警察庁は、運転免許証の自主返納を促すなどの対策を進める。75歳以上のドライバーによる死亡事故は昨年、418件(前年比41件減)で、過去10年で2番目に少なかった。
75歳以上のドライバーについては、免許更新時や逆走など一定の違反をした時に、認知機能検査が義務づけられている。「認知症の恐れがある」(第1分類)、「認知機能低下の恐れがある」(第2分類)、「低下の恐れがない」(第3分類)のいずれかに判定され、第1分類は医師の診断を受けなければならない。
警察庁によると、昨年に死亡事故を起こした75歳以上418人のうち、免許更新前だった33人をのぞく385人の検査結果は、第1・第2分類の判定が189人(49%)だった。昨年までの3年間に検査を受けた約525万5千人で、第1・第2分類とされた人は32%だった。警察庁は、認知機能の低下が事故の発生に影響している可能性があるとみている。
75歳以上のドライバーが昨年1年間に起こした交通死亡事故は418件。死亡事故全体に占める割合は12・9%で前年より0・6ポイント減少した。高齢運転者の認知症対策を強化した改正道路交通法が昨年3月に施行されたことの影響について、警察庁の担当者は「全体に占める割合の減少はわずかで、影響の有無はまだ判断できない」としている。
警察庁によると、75歳以上のドライバーによる死亡事故は2008年410件で、14年は471件に上った。死亡事故全体に占める割合も増加傾向で、16年は13・5%に達していた。(浦野直樹)