母の死後「都内のマンション」を相続した女性が絶句した…「老朽化マンション」のヤバすぎる惨状

高騰する「古いマンション」の保険料

国交省によれば、国内の中古マンションは2022年時点で約694.3万戸にのぼり、国民の約1割が分譲マンションに居住していることを明らかにしました。このマンションの総数のうち、じつに約125.7万戸が建てられてから40年以上が経過した、“古いマンション”だということです。

築40年以上経過したマンションは、今後も増加が見込まれており、10年後には約2.1倍の260.8万戸が、さらに20年後には約3.5倍の445.0万戸に膨れ上がることが予想され、大きな社会問題になっています。

なぜなら、そのような古いマンションでは、管理運営が機能せず空室が増加したり、資産価値や住戸としての機能を損なうといった、いわゆる“管理不全のマンション”に陥る傾向にあるからです。

現在でも、管理規約がなく10年以上も総会も行われずに、理事長(管理者)が選任されていないマンションは珍しくありません。

そんな“マンション大異変”とも言うべき現状のなか、先日、築50年以上が経過した都内のマンションにお住まいの40代の女性から、私のもとに相談が入りました。訪問してみると、この方が所有する住戸は、倉庫や事務所と住戸が混在している雑居ビルの一室でした。

聞けば、母親がお亡くなりになり、一人娘のご自身が相続して住み始めたものの、入居後に何年も総会が開催されてないこと、管理規約がないこと、理事長が誰だかわからないことなどを知ったといいます。

このようなマンションは「自主管理物件」と言われており、そういったマンションに住んだことのないこの女性は、どのようにして自衛し管理してよいのか分からずに困り果てた様子でした。

訪れた時に、1戸1戸を回り、管理費と水道使用料を集金して手書きの領収書を渡し、学習ノートのような金銭出納帳にボールペンで書き込んでいる居住者の高齢男性がを偶然見かけたので「このマンションは誰が管理しているのか」と尋ねてみました。

高齢の男性の話では、管理は5階に住む不動産屋さんがお一人でされており、その不動産屋さんがこのマンションの管理者で管理会社のようです。分譲マンションの場合は、管理費は銀行口座からの引き落としが一般的ですが、そもそもこのマンションは、自主管理物件のため、そういう仕組みはありませんでした。

保険請求は漏水関係が約5割

建築基準法では、『築後10年を経過したマンションは、3年以内に外壁の全面打診調査を行う必要がある』と定められていることから、マンションの大規模修繕は「12年周期」で考えられることが一般的です。

しかし実際には築40年以上の約4割が、また築30年以上の約2割で適時適切な大規模修繕が実施できていない可能性があることを国交省が指摘しており、ハード面においての外壁等の剥落、 鉄筋の露出・腐食、給排水管の老朽化といった生命・身体・財産に影響する問題を抱えています。

加えて、マンションストック戸数のうち築40年以上では24.4%が、築30年以上では22%が2回以下の大規模修繕しか実施していないようです。

そのため、大規模修繕をしていないマンションでは、近年、地球温暖化の影響で起こる、ゲリラ豪雨や線状降水帯による雨水の侵入や水漏れの二次被害に加えて、老朽化した給排水管による漏水事故が多発しています。

一般的に分譲マンションの場合、このような漏水事故や水濡れ被害が発生すれば、マンション管理組合保険の『施設賠償責任補償特約(建物管理賠償責任補償特約)』か、または『個人賠償責任補償特約で保険金』を請求する場合がほとんどです。

マンション管理組合保険を主に扱っている大手保険代理店、ファイナンシャルアライアンス株式会社の清野孝道氏によれば、「高経年マンションの保険請求は、漏水関係が約5割以上を占めている」と指摘します。

「マンションで発生する漏水事故は、給排水設備の老朽化に起因するものと、居住者の不注意(洗濯機のホースが外れていたなど)によるものが多く、その漏水に関わる調査費用や被害宅の復旧工事にマンション管理組合保険は使用されています」(清野氏)

しかし、老朽化がすすめば、それだけ修繕する費用も高くつくのが一般的です。マンションの大規模修繕は管理組合の総意がない限りは勝手にできないため、とくにコスト面で折り合いがつかず、そのまま放置されてしまうということも多く見受けられます。

そんな状況をどう解決していけばよいのか。続きの<いま日本で急増する「マンション保険料」高騰のウラ事情…「入っても地獄」「入らなくても地獄」の実態を明かす>で明らかにします。

いま日本で急増する「マンション保険料」高騰のウラ事情…「入っても地獄」「入らなくても地獄」の実態を明かす

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