東日本大震災の津波で消失した宮城県気仙沼市内の老舗「かもめ食堂」が2日、新横浜ラーメン博物館に復活オープンする。東京でラーメン店を経営する同市出身の千葉憲二さん(60)が店名を受け継ぎ、再現。地元出身のスタッフを育成し、将来的には気仙沼に店舗を移す構想を描いている。
オープンを前に1日、試食会が開かれ、気仙沼特産のサンマ香油を使った「気仙沼ラーメン潮味」などを披露。開店を待ちわびる約300人の来場者でにぎわった。
気仙沼市南町の内湾沿いにあった「かもめ食堂」は1942年創業で、長く地元の水産関係者や旅客船で通う学生らに愛された。切り盛りしていた姉妹が高齢になったため、2006年に閉店。残った建物は、昨年3月の大津波で全壊した。
「幼いころ、父に連れられて初めて店で食べたラーメン。料理人を志した原点だった」と振り返る千葉さん。震災後、物資支援や炊き出しに奔走する中で店の消失を知り、復活を目指してきた。
新「かもめ食堂」では、気仙沼出身者を従業員として募集し、ノウハウを伝授しようと考えている。3年後をめどに気仙沼に戻って店舗を構えてもらうつもりだ。千葉さんは「思い出の風景を取り戻し、将来への希望をつなぐ橋渡しをしたい。港町・復興のシンボルに」と願いを込めている。