気仙沼の食材“伊~ね” 鶴岡の奥田シェフ来訪

 国内外で活躍する山形県鶴岡市のイタリア料理店「アル・ケッチァーノ」のオーナーシェフ奥田政行さん(40)が11、12の両日、宮城県気仙沼市を訪れ、海産物を見て回った。地元業者らとの交流の中で取引の糸口も生まれ、食に対する有名シェフの鋭敏な感性に水産関係者は刺激を受けていた。
 奥田さんは、気仙沼市出身でアル・ケッチァーノの料理人西田淳之介さん(31)とともに来訪。臼井賢志気仙沼商工会議所会頭の案内で鮮魚店や加工工場、魚市場を見学した。
 メカジキやシラスなど海産物の味見をしたり、フカヒレの加工工程の説明を受けたりして海の食材を吟味。特に、高級中華食材のフカヒレに着目し、「コンソメで味付けし、ミズナやシラガネギなどを添えたら面白い料理になる」と、その場でアイデアあふれるイタリアンレシピを披露。クリスマス用にと早速注文した。
 市内の和風レストランが開発したマグロのカラスミの珍味にも関心を示し、ダイコンを絡めた新しい料理を店主にアドバイスしていた。奥田さんは「地元の人たちと話すことで食材の良さがよく分かりアイデアがわいてきた。気仙沼とのつながりを今後も大事にしたい」と話した。
 案内した臼井会頭は「奥田さんが山形県庄内地方で進めてきた地産地消の成功体験に学ぶ点は多い。食を軸にして、交流を広げていければ」と期待を込めていた。
 奥田さんは、庄内を拠点に地域の食材にこだわった独創的なイタリア料理を生み出し全国的に知られる。「広い視野から各地の食材や生産者の考え方を知ることが、それぞれの土地の地産地消を深めることになる」と、全国を巡り食文化を追究している。

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