気仙沼の鮮魚をネット電話注文 熊谷市民、震災支援が縁

東日本大震災を機に生まれた宮城県気仙沼市との交流を深めようと、埼玉県熊谷市の市民団体がインターネット電話「スカイプ」で、気仙沼市の共同商業施設「気仙沼さかなの駅」とつないで鮮魚を購入する事業を8月にも始める。旬の味覚を動画と音声で紹介する。海に面していない熊谷市の住民にとっては新鮮な魚を安価に求められ、さかなの駅は売り上げの増加が見込める。
 購入事業は、熊谷市で空き店舗を使った住民交流施設を運営する「まちなか交流広場利用者協議会」(大久保由美子代表)が実施する。熊谷市から約20万円の補助を受けて「まちなかで気仙沼の魚が買えるよプロジェクト」を展開。住民交流施設を訪れた市民らを対象に月1、2回の開催を見込む。
 さかなの駅は、震災で被災した鮮魚店など9社が出資して2011年12月に開設された。購入事業では、気仙沼港に水揚げされた旬の魚を案内するほか、駅員(販売担当者)が駅内を巡回して当日のお薦め商品を紹介するなど、通信端末を使って対面販売の臨場感も味わってもらう。
 協議会のメンバーら3人が10日、さかなの駅を訪れ、駅員が店頭に立って商品を紹介するデモンストレーションなどを見学した。大久保代表は「商品を見ながら魚屋さんで買い物できる感覚を楽しみ、気仙沼の復興に少しでも貢献したい」と話した。
 さかなの駅の駅員渡辺和彦さんは「スカイプを使った事業は初めてだが、気仙沼の豊かな食を多くの熊谷市民に届けたい」と張り切っている。
 源平合戦で活躍した武蔵国熊谷郷(現熊谷市)の武将・熊谷直実(1141~1208年)の子孫が、鎌倉時代に気仙沼地方を統治したことが縁となった。熊谷市民有志が昨年6月、気仙沼市で歌舞伎公演を開催しており、住民同士の交流をさらに深めようと計画された。

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