気仙沼市、人口減対策に50億円 2023年度から10年間 給食無償化など

宮城県気仙沼市は2023年度から、小中学校の給食費無償化など10年間で50億円規模の新たな人口減少対策に乗り出す。22年度に46億円超と大幅に増加したふるさと納税の寄付を活用する。既に実施している18歳までの子ども医療費無償化と併せて、子育て世代の移住・定住を促進する。

ふるさと納税の寄付活用

 新年度に着手する人口減少対策は(1)小中学校の給食費無償化(2)第2子以降の保育料の無条件での無償化(3)待機児童ゼロ-が柱。(1)~(3)の10年間の経費として計約30億円を見込む。宮城県内では富谷、栗原両市が新年度から給食費無償化を予定するが、各施策を同時に行う自治体は初めて。

 子育て世代の勤務先となる企業誘致、新年度に創設する人口減少対策市民会議(仮称)で発案する施策にも各10億円を投じる方針。今月1日付で「市ふるさと応援基金」を創設し、22年度のふるさと納税の寄付額の約5割、新年度以降の10年間も毎年約5割を積み立てる。

 市によると、22年度の寄付額は12月末時点で46億8937万円。同市も舞台となったNHK連続テレビ小説「おかえりモネ」放映などの効果で過去最高だった前年度同期の3・5倍に膨らんでいる。

 寄付を申請するポータルサイト数の拡充や返礼品を前年度の1・5倍(約900品目)に増やしたことが奏功したとみられる。市内で加工されたカニや牛タン、イクラ、フカヒレなどの返礼品が人気だという。

 4日、菅原茂市長が定例記者会見で施策を発表した。同市は人口減少が深刻で、東日本大震災前の2011年2月に7万4247だった人口は22年2月に初めて6万を割った。

 菅原市長は「最大の課題である人口減少対策への活用は、ふるさと納税の趣旨にもかなう。子育てに手厚いというメッセージを市内外に発信し、気仙沼に目を向けてほしい」と述べた。

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