水素でエンジン燃焼アシスト、住友商事が事業化したスゴイ技術

住友商事は米ハイドロジェン・オン・デマンド・テクノロジーズ(HoD、カリフォルニア州)と共同で、水素によるディーゼルエンジン燃焼アシスト技術を日本市場で事業化した。装置を既存のエンジンに取り付けることで、環境負荷の低減と燃費改善を可能にする。港湾荷役機器からスタートし、バスやトラック、船舶、発電機をターゲットに技術開発と導入を進めていく。将来は日本での生産も視野に入れる。

第1弾として飛島コンテナ埠頭(愛知県飛島村)が運用する港湾荷役機器に採用されることが決まった。住友商事は中部圏水素利用協議会のメンバー。中部地方から販売をスタートし全国展開する。数年後に年間数百―数千台の販売を目指す。

ハードの販売に加え、住友商事が取り付けなどの初期投資を負担し、燃費改善による燃料費低減効果を顧客と分け合うビジネスモデルも検討する。米国で米州住友商事とHoDは貨物機関車に搭載する実証実験を進めている。住友商事のネットワークを活用し、国際展開する方針だ。

HoDの技術は装置をディーゼルエンジンに取り付けると、車両の電気で蒸留水を水素と酸素に電気分解し、酸素は大気中に放出する。エンジン稼働時にのみ、必要な高純度水素を供給し軽油の燃焼をアシスト。排出する窒素酸化物(NOx)を77%、粒子状物質(PM)を64%、二酸化炭素(CO2)を10%以上それぞれ削減するとともに燃費を10―15%改善できるという。

装置は長さ46センチ×奥行き33センチ×高さ30センチメートルと小型。0・78キロワットの電力で1分間に最大で4リットルの水素を生成できる。エンジンに取り付けて使用するため、水素ステーションなどのインフラ整備や貯蔵用の高圧化・高圧水素タンクも不要だ。米国では7年間で3億2000万キロメートルの走行実績があり、エンジンの故障率が低下したという。

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