水道3事業一体運営へ 宮城県と民間契約

宮城県は23日、2020年度から県内の広域上水道と下水道、工業用水の3事業を一体化し、民間企業と運営権契約を締結する方向で調整していることを明らかにした。民間企業が維持管理や設備更新を担い、県が料金設定などに関わる全国初の官民協働の枠組みを想定。県は、県議会2月定例会に提出する16年度一般会計補正予算案に関連調査費1億1000万円を盛り込む見通し。
水道事業は人口減少による需要減少と将来的な収益縮小が予想される。県の試算では、広域上水道事業収益が年150億(15年度)から30年後には年130億円に縮小する一方、機械や水道管の更新費は累計で1900億円に達する。
工業用水もリサイクル技術の進展や企業撤退で契約水量は減少する見通し。設備更新のコスト削減を進めるための経営改革が急務だった。
県は「みやぎ型管理運営方式」として、大崎と仙南・仙塩の両広域上水道、仙塩、仙台圏、仙台北部の3工業用水、仙塩と阿武隈川下流の2流域下水道事業を一体化。民間企業が出資して設立する特定目的会社に運営権を与える。
特定目的会社は、料金収入と設備の一括発注などコスト削減で利益を確保する。県は料金設定の権限を持ち、上水道、工業用水の管路更新も引き続き担う。完全民営化ではなく、県の関与を残した形とする。
新方式の導入に向け、特定目的会社が料金収受を行うためには水道法など関連法令の改正が必要。県は政府に協力を求めている。
水道事業の改革は全国の自治体で課題となっている。広島県は第三セクターを設立して維持管理を委託。大阪市と奈良市は完全民営化を計画したが「民間に任せて良いのか」との批判が上がり、市議会で条例改正案が否決されている。

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