沖縄の個人所得が伸び続けている理由

意外に思われる人が多いのだが、日本で唯一、消費が増えている県は沖縄県である。個人所得も小売販売額も、バブル崩壊以降に一番伸びた都道府県である。理由はシンプルだ。沖縄県は、就業者数が順調に増加を続けてきたからだ。
「沖縄は失業率が高く、有効求人倍率も低いはずだが……」と思う人もいるだろう。これも「率」だ。失業率が景気動向を示す、という認識があると、見当外れな間違いを犯すことになる。
日本一出生率が高く、15歳を超える若者が人口比では首都圏よりも多い。
また、ほかの都市圏で人数の多い30年代後半生まれの高齢者の多くが、沖縄戦の惨禍で亡くなられている。だから沖縄では65歳以上の高齢者が県人口に比べて相対的に少なく、就業者の増加が続いた。県を出る若者も失業する若者も多いが、地元でベンチャーを開業して職をつくり出そうとする若者も多い。このため個人所得が増えて、モノ消費も増えているのだ。
失業率を見るときには、一緒に失業者数を見なければいけない。米国経済の基本指標には「非農業部門の雇用者数の増減」が使われている。もちろん失業率も重要な経済指標だが、あくまでメーンの数字ではない。報道も、「失業率は下がったけれど雇用数は減っている」「失業率は上がったが雇用数は増えている」といった「絶対値」と「率」を組み合わせた形で行われる。それは第1に地域経済を左右するのは雇用の増減であり、第2に失業率や有効求人倍率は必ずしも雇用の増減とは連動しないものだからだ。

タイトルとURLをコピーしました