沖縄政界に激震 辺野古ワンイシューに限界か 那覇市長に自公系

沖縄の〝選挙イヤー〟の締めくくりとなる那覇市長選で、政権与党が推す元副市長の知念覚(さとる)氏(59)が初当選を果たした。この結果、米軍基地問題などをめぐる県と市のスタンスにずれが生じ、9月に2期目をスタートさせた玉城デニー知事の県政運営に影響を及ぼすのは必至だ。玉城氏を支える「オール沖縄」勢力の結束も揺らいでおり、沖縄政界はいま、大きく変わろうとしている。 県都である那覇市は、オール沖縄勢力を結集して市長から知事に転身した故翁長雄志(たけし)氏の地元で、同勢力の影響力が強い。このため当初は、同勢力が擁立した雄志氏の次男で元沖縄県議の翁長雄治(たけはる)氏(35)が優勢とみられていた。 だが、告示4日前の12日に風向きが変わる。それまで態度を明らかにしていなかった現職の城間幹子市長が、知念氏を支持すると表明したからだ。 オール沖縄の全面支援で市長となった城間氏は、玉城氏と並ぶ同勢力の〝顔〟だ。突然の離脱に翁長陣営の関係者からは「市長に裏切られた思いだ」との恨み節が漏れた。 知念陣営の関係者によれば、城間氏は最近、オール沖縄の実態が保革共闘の理念から離れ、革新色を強めていることに不満を抱いていた。オール沖縄が米軍普天間飛行場(宜野湾市)の名護市辺野古への移設反対というワンイシュー(単一論点)であることにも、限界を感じていたという。 城間氏は5月に引退を表明した際、「辺野古問題への賛否は市政運営に直接影響するものではない」とも語っていた。 沖縄政界は雄志氏が知事となった平成26年以降、オール沖縄と政権与党の自公系が対決する構図が続いている。しかし近年、オール沖縄から保守派や経済界の離脱が相次いでいた。 城間氏の離脱と知念氏の初当選は、オール沖縄主導の政治運営の限界を浮き彫りにしたといえそうだ。 「選挙結果を深刻に受け止めざるをえない」とオール沖縄関係者。保守派の市議は「この選挙が沖縄を変える大きな一歩になるかもしれない」と話した。(川瀬弘至)

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