沖縄県と同県名護市が受け付けた「ふるさと納税」が、今年に入り前年同月比で最大約77倍も増えたことが2日、分かった。昨年12月に米軍普天間飛行場の 名護市辺野古への移設に反対する翁長雄志知事が就任したことがきっかけとみられ、寄付者から反対運動への支援文も多く届いているという。政府関係者は、県 外の反対派が世論喚起を狙って集中的に寄付した可能性があると指摘している。
県税務課によると、今年1月の寄付額は413万9千円で、前年同月と比べて約22倍。2月は821万6千円が集まり、同約77倍となった。
同課は「今年1月を境に寄付者への贈呈品を豪華にしたということはない」とし、翁長氏の知事就任が増加の一因と分析する。寄付者は東京や大阪など大都市の人が多く、今年に入って「反対運動を応援しています」などの激励文が県庁へ大量に送られてくるようになったという。
移設先となる名護市でも寄付は増加傾向にある。市財政課によると、1月の件数は前年同月比で約9倍だった。3月分は集計が終わっていないが、「(前年同月比)約4倍となる150件を超す可能性がある」という。
寄付の9割以上が県外からという。名護市の場合、寄付者は使い道を「経済活性」など6項目の中から指定できるが、基地対策にも使える「安全・安心・平和なまちづくり推進事業」を選ぶ人が最も多く、全体の3割を超すという。
政府関係者は、沖縄での寄付の急増について「基地政策に日頃から反対する県外の活動家が世論喚起のため、寄付と手紙を集中して寄せた可能性もある」と指摘する。
県内では、辺野古移設に反対する市民団体が、活動資金を集めるための基金を設立する動きもある。
政府は「移設作業の停止を指示した県と法廷闘争になったとしても勝ち抜く自信はある」(防衛省幹部)として作業を着実に進めたい考えだが、移設反対の世論を県外に拡大させる動きとみて警戒感も広がっている。