沿岸部の地元購買率が低下 商店の被災、浮き彫り 2012年商圏調査

 宮城県内の消費者が買い物をする地域を調べる県の2012年消費購買動向調査(商圏調査)の結果が18日まとまった。東日本大震災の被害が大きかった沿岸部では、地元で買い物をすると回答した割合を示す地元購買率が、08年の前回調査から軒並み低下。日常的な買い物をする商店などが、震災で大きな打撃を受けた実態があらためて浮き彫りになった。
 沿岸23地区(「平成の大合併」前の旧市町村単位や仙台市の区)のうち、15地区で、食料品などの「最寄り品」の地元購買率が低下した。
 津波で壊滅的な被害を受けた南三陸町の旧志津川町地区は19.1%と57.5ポイントの大幅低下。同町の旧歌津町地区も12.5%で22.7ポイント下がった。住民の多くが仮設住宅に住む登米市や、浸水を免れた商業地域がある石巻市、一部商業地域が比較的早く復旧した気仙沼市などに買い物先を移していた。
 地元購買率の低下は、16.3ポイント下がった気仙沼市の旧本吉町地区(28.7%)、9.2ポイント下がった利府町(80.9%)、8.7ポイント下がった東松島市の旧鳴瀬町地区(2.5%)でも目立った。
 調査では商圏の変遷も分析した。12年の商圏は図の通り。08年以降に仙台港後背地に大型商業施設が集積した影響で、仙台宮城野という新たな商圏が形成された。白石、旧中新田の2商圏は他商圏に買い物客を奪われるなどし、消滅した。
 吸引人口が最も伸びたのは、旧志波姫で47.5%増。41.3%増の名取、18.1%増の富谷が続いた。吸引人口を最も減らしたのが多賀城で47.8%減。次いで18.7%減の旧気仙沼、17.6%減の仙台太白だった。
 商圏人口が最も多いのは仙台青葉で、県北や県南からも集客する超広域型の商圏を形成。仙台太白などが吸引人口が10万人以上の広域型、多賀城などが2万人以上の地域型、旧志波姫が地区型だった。
 震災のため調査は12年11月に1年遅れで行われた。
[商圏調査]1978年から3年ごとに実施しており、12回目。公立小3年の児童の保護者が対象で、今回は調査票1万4864枚を配布し、回収率は80.7%だった。合併前の旧市町村単位で調べている。商圏形成の条件は、(1)買回品の地元購買率が30%以上(2)他市町村からやって来る買い物客が15%を超える-の2点。

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