洋上風力、世界最大手が国内2社と共同応札へ 政府公募事業

政府が洋上風力発電を推進する新法「再エネ海域利用法」に基づき初めて公募した着床式の洋上風力発電事業に、世界最大手のオーステッド(本社デンマーク)が日本の陸上風力大手の日本風力開発、ユーラスエナジーの2社と共同で応札する方針を固めた。近く発表する。オーステッドによる日本での公募応札は初めて。菅義偉(すが・よしひで)首相は洋上風力などで温室効果ガス削減を推進する方針で、3社は事業拡大を通して日本で関連産業の育成も目指す。 【図で見る】再生可能エネルギーをめぐる主な構図  政府は11月27日、発電事業者に一般海域の30年間の占有を認める同法に沿って秋田県沖と千葉県沖の計4区域で公募を開始。3社は秋田の「能代市・三種町・男鹿市沖」「由利本荘市沖北側」「同市沖南側」の3区域に応札する。  発電機の土台を海底に直接建てる着床式は風車の大型化が可能で、発電規模は同3区域で計114・5万キロワットと原発1基分に相当する。3社は共同出資会社を日本に設立し、新たな公募にも応札する。  2050年までに温室効果ガス排出量の実質ゼロを目指す首相は、3日の国際会議で「洋上風力発電など海洋の力を活用し脱炭素社会の実現に向けた国際社会の取り組みを主導する」と強調。4日の記者会見では環境分野の技術革新を支援する2兆円の基金創設を表明するなど、環境対策を通して国内産業を伸ばし雇用創出を図る考えだ。  3社はこうした政府の意向に対応し、施設建設や部品調達などで地元企業の参画を最大限に進め産業育成を後押しする方針。すでに日本風力開発は秋田県企業と国内初の洋上風力発電メンテナンス専門会社を同県能代市に設立し、地元金融機関からの資金調達や産学連携、市民ファンドの設立なども計画している。  関係者によると、ユーラスエナジーと日本最大の風力発電メンテナンス専業会社を傘下に持つ日本風力開発の国内陸上風力における合計シェアは約3割を占めており、洋上風力の世界最大手と組むことで洋上風力事業の拡大を図る。公募が有望視される青森県沖や山形県沖の事業にも応札する方針だ。  今回の公募受け付けは来年5月までで、来年10月頃に事業者を選び、数年内の運転開始を目指す。東京電力ホールディングスと中部電力が出資するJERAや、再エネ開発大手のレノバなども参入を目指す構えで競争激化は必至だ。政府は約2万キロワット(19年)の洋上風力の発電能力を30年までに1000万キロワットに拡大することを目指している。

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