津波で種掘り起こされ再生か 仙台・大沼で半世紀ぶりハス開花

仙台市若林区荒井の大沼でハスの花が見頃を迎えた。高度経済成長期の農薬禍で一度は全滅したが、東日本大震災の津波で沼底の泥の中の種が掘り起こされ、再生したとみられる。3日ごろから桃色の花が開き始め、訪れる人の目を楽しませている。

 地元の郷土史研究者松木達雄さん(76)によると、湿地帯の大沼周辺はかつてレンコン栽培が盛んで、ハスの花が夏の水辺を彩った。開発が進み水田が増えていく中で農薬が使用された結果、1960年ごろに姿を消した。

 2013年、市民が大沼でハスの花を目撃した。一帯は津波で広範囲に浸水。この時に沼底が津波でえぐられ、種が表出して復活した可能性が高いという。

 国内では1952年、千葉市の古代遺跡から発掘された約2000年前のハスの実が芽を出し、花を咲かせた例もある。松木さんは「津波がもたらした神秘的な現象だ。今度はハスの花が失われないように願う」と話す。8月半ばごろまで楽しめるという。

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