津波で被災の仙台・藤塚地区、集団移転跡地に食・農・温泉施設21年秋にもオープン

東日本大震災で被災した仙台市若林区藤塚地区に、レストラン、農園、温泉などの複合施設「アクアイグニス仙台」を整備する計画を2日、建設業の深松組(仙台市)が発表した。市の防災集団移転跡地利活用事業に応募し、候補に選ばれた。牧歌的な空間で有名シェフ監修の料理やデザートが味わえる場所とし、国内外からの誘客を図る。
 同社によると、敷地面積3万4000平方メートル。農園レストラン、ベーカリー、地元食材が並ぶマルシェ、物販棟、温泉棟などを建設する。延べ床面積は計1万平方メートルに及ぶ。温泉棟は高さ16メートルの3階建てで、津波発生時は避難場所に使う。
 田んぼビオトープ、収穫体験ができる畑、イチゴやトマトのハウスも配置する。周囲は駐車場とし、屋敷林「居久根(いぐね)」に見立てて樹木で包む。2020年春に着工し、21年秋ごろのオープンを目指す。地元から200人程度を雇用する。
 カフェやレストランのメニューは、世界的に活躍するパティシエの辻口博啓氏、鶴岡市のイタリア料理店「アル・ケッチャーノ」オーナーシェフ奥田政行氏、東京の人気店「賛否両論」店主笠原将弘氏が、地元食材を取り入れて考案する。3人はイベントとして開く料理教室にも参加する。
 「アクアイグニス」ブランドの施設は、同名の運営会社(東京)が三重県菰野(こもの)町で展開し、多くの行楽客を集めている。仙台市の施設は同社と深松組が共同運営する予定という。
 深松組の深松努社長は「すぐ近くに仙台空港があり、外国人観光客の利用が見込める。沿岸部の周遊観光の拠点にしたい」と話した。

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