地震時の津波の観測値を自治体に提供するシステムについて、東北地方整備局は24日、配信機能を改良、強化する方針を明らかにした。行政担当者の携帯電話に直接メール送信するなど、情報共有の迅速化を図る。2月に試験運用し、導入の適否を最終判断する。
従来は、パソコンを使用しなければデータ閲覧できなかった。携帯電話を介して担当者に情報提供することで、速やかな避難誘導が可能になるという。配信には衛星回線も活用し、災害時の情報遮断リスクを軽減する。
システムに接続した際の画面選択などの手間を省き、津波の波形が容易に分かるよう工夫する。
システムは2010年1月の導入。沖合の衛星利用測位システム(GPS)波浪計で波高などを計測、配信する。東日本大震災では停電などで十分機能せず、3自治体の利用にとどまった。
整備局は24日、東北6県などとシステム改良について話し合う協議会幹事会を開催。宮古、釜石、大船渡、気仙沼4市での試験運用の実施を決めた。幹事会座長を務める富士常葉大の阿部郁男准教授(津波工学)は「津波の計測データに基づいた避難誘導は有効。全国のモデルケースになる」と話した。