津波ヘドロ再資源化実験 仙台港後背地で着手 新日鉄

 新日本製鉄は東日本大震災による津波で運ばれたヘドロを再資源化する実証実験を、仙台市宮城野区の仙台港後背地で始めた。鉄鋼の製造過程で出るスラグをもとにした粒剤をヘドロに加えて高速でかき混ぜると、ヘドロは強度のある土になり、盛り土などに活用できるという。
 実証実験は22日まで行われる。同社が借りた私有地に自社開発したプラント「回転式破砕混合装置」などを設置した。
 装置は内側につるした重りが毎分600回転以上する構造。「カルシア系改質剤」と呼ばれる粒剤を加えて装置で混ぜると、粒剤中のカルシウムと水が化学反応して固化する。回転による水分の気化効果もあり、気化によりヘドロの中の木片やプラスチックなどの分別もしやすくなる。分別には振るいを使う。
 同社は既に別の方法でヘドロの再資源化に成功し、土は防潮堤の造成などに採用されている。今回の装置を使った実験では効率的な分別も同時に行えるメリットなどを示し、行政やゼネコンからの受注につなげる。
 廃棄物としての埋め立てなどでヘドロを最終処理する場合に比べると、処理コストは4分の1から3分の1程度に抑えられるという。
 新日鉄は「全体で1900万立方メートルに及ぶとされるヘドロを有効利用できるようPRしたい」としている。

タイトルとURLをコピーしました