津波流失のえびす像、海から引き揚げ 住民再開喜ぶ・気仙沼

東日本大震災の津波で流失し、昨年見つかった宮城県気仙沼市魚町の神明崎のえびす像(高さ約1.5メートル)が14日、海底から引き揚げられた。地元の住民たちは、大漁を願うシンボルとの約8年10ヵ月ぶりの「再会」を喜んだ。

 3月に完成予定の遊歩道などの工事作業員が、クレーン車を使って市内の岸壁近くで引き揚げた。像はタイを釣り上げる立ち姿。ほぼ元の状態を保っていた。右手に持った釣りざおは折れていたが、近くで見つかった。
 像は1988年の建立。32年に建てられた初代像が太平洋戦争で軍に金属として回収されたため、神明崎にある五十鈴神社の氏子らが協力して復活させた。
 震災の津波で流され、漁業関係者が周辺を捜したが見つからなかった。昨年11月下旬、工事の作業員が発見した。
 五十鈴神社の神山正志宮司(70)は「元の形のままで戻ってきてくれた。海の守り神が見つかり、本当にうれしい」と喜んだ。
 2017年夏に商工、漁業関係者らが「3代目えびす像建立委員会」を設立し、今春にはカツオを釣り上げる3代目ができる。委員会は今回見つかった像を五十鈴神社に奉納する予定。
 委員長を務める気仙沼商工会議所の臼井賢志名誉会頭(77)は「元気な姿で戻ってきてくれた。今年の大漁につながり、気仙沼の復興にも弾みがつくはずだ」と話した。

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