東日本大震災の発生後、宮城県内の沿岸部で、避難手段に自動車を使用した人は52%に上ることが24日、国土交通省の調査(速報値)で分かった。今回の震災では避難時の道路渋滞に巻き込まれた犠牲者も多かったとみられる。国の中央防災会議は津波避難のあり方として、震災前から原則徒歩を掲げていた。
沿岸14市町の被災住民を対象に調査し、未回収の山元町を除く13市町の4626人が回答。リアス部と平野部に分けて集計した。車の利用はリアス部が48%、平野部は55%。年代別では30代が660%を超えたほか20代は58%に上り、若い世代ほど車の利用率が高かった。
利用した理由としては「車でないと間に合わないと思った」(31%)、「避難を始めた場所に車で来ていた」(29%)、「家族で避難しようと思った」(27%)だった。
車での避難の結果「渋滞して動けなかった」(53%)、「信号が消えていた」(42%)などの指摘があり、「人、車が混在して危険」などの問題点も浮き彫りになった。
一方、津波が到達する前に避難行動を始めた人は54%にとどまった。避難しなかった人は24%に上り、理由を聞いたところ、最多は「過去の地震でも津波が来なかった」の47%。次いで「海から離れた場所にいた」(39%)などだった。
避難行動をとる前に家族や友人らの安否確認を優先した人は42%。避難せず、迎えに行ったり探したりした人は33%に達した。