東北大災害科学国際研究所の研究グループは、人工衛星の観測による過去の水害データを人工知能(AI)に読み込ませ、洪水による浸水範囲を高精度で推定するアルゴリズム(計算手法)を構築し、スイスの科学誌に発表した。洪水の発生直後、迅速に被災地の浸水予想図を作成できるという。
マス・エリック准教授、越村俊一教授らの研究グループは、人工衛星から地表に向けて照射したマイクロ波が、浸水の度合いによって異なる散乱特性を示す性質を活用。マイクロ波による地表の実測データから、AIが浸水範囲を推定するアルゴリズムを開発した。
2018年の西日本豪雨で被災した岡山県倉敷市真備町の浸水域データをAIに学習させ、昨年10月の台風19号豪雨で被災した郡山市の浸水域を推定させた結果、国土地理院による調査結果と約8割の精度で整合した。
越村教授は「将来発生する水害の被害範囲を、高度に推定する画像解析アルゴリズムを構築し、実用化させたい」と話した。