活躍する人たちが「1日1食」を選ぶ深いワケ タモリ、ビートたけしも実践

私は30年にわたり1日1食を続けています。1日1食にしたのは、痩せるためでも、健康になるためでも、悟りを開くためでもありません。全力で仕事に取り組むためです。

1日1食だと当然痩せますし、食べすぎが招く生活習慣病のリスクも減るでしょう。でも、それは私にとっては副次的な効果にすぎません。『無敵の「1日1 食」 疲れ知らずで頭が冴える!』でも紹介していますが、私はあくまで元気に仕事を続けたいから、1日1食にしているのです。私は2016年7月で74歳になり ますが、1年365日ほとんど休みなく働いています。

ライフワークとして40代半ばから30年にわたり、新作オペラに取り組んでいます。それも作曲だけではなく、巨額の資金集めから台本や演出の依頼といった総合的なプロデュースを含めて、すべて同時にこなしているのです。

正直、金策や人的折衝は大変骨が折れる仕事です。心労もストレスも大きいのですが、そんなハードな仕事をこなせているのも、1日1食にしているからなのです。では、なぜ1日1食だとハードワークがこなせるのか?

一般的には、1日3食できちんと栄養補給をしないと頭も体も働かないのではないかと思われるかもしれません。もちろん、バランスのとれた食事(栄養)を摂 取カロリーの範囲内で摂ったほうが健康上、良いことは間違いありません。しかし、ストレスなく仕事をこなすことを優先するなら、それは大間違いなのです。

「食べる」という行為は疲労を招きます。1日3食も食べているとそれだけ疲れて眠くなり、仕事の効率が落ちるのです。食事は、あとは寝るだけの夕食1回だけにしておけば、仕事を中断されることもなく、日中はフルスロットルで仕事をこなせます。

太ってメタボが心配なビジネスパーソンにとって、1日1食は“一石三鳥”です。痩せて見た目が若返り、健康になり、そのうえ仕事もバリバリこなせるように なるからです。私の1日1食のスタイルは、朝と昼は漢方ドリンクを飲んで、夕食は好きなだけ食べてお酒を飲むというもの。そして、1日1食となる夕食はほ ぼ毎日、ゲストを招くか、ゲストとして招かれるかの「会食」です。

なぜなら、オペラに協賛してくれる企業を見つけたり、関係者との打ち合わせをしたりするために欠かせない“仕事”だからです。

会食では好きなものを自由に食べています。通常、外食すると1食で軽く1000 kcalを超えます。標準的な定食は1000 kcal前後ですし、それにお酒と甘いものを食べると1日3食なら4000 kcal近くも摂ることになります。

標準的な体型の成人男性の場合、摂取すべきカロリー(推定エネルギー必要量)は1日2300kcal~2600kcal、成人女性では1日 1800kcal~2000 kcalとされていますから、運動習慣のある人ならまだしも、普通の人が1日4000 kcalも食べると太りますし、不健康です。

1日1食にす れば、我慢せず自由に食べて飲んだとしても、2000 kcal前後で収まりますから太らなくて済みます。私は毎晩お酒を飲みますし、羊羹など甘いものも好きです。それで1日2、3食だと太りますが、1日1食 にしてから体重が70kg前後で安定し、仕事にも全力で打ち込めるようになりました。

肥満の判定基準となるBMI(体格指数)というものがあります。BMIは、体重(kg)をメートル(m)換算した身長で2回割った数値であり、日本肥満学会では25以上を肥満としています。

私は身長171cmで体重70kgですからBMIは23.9。厚生労働省の『日本人の食事摂取基準(2015年版)』で、70歳以上は BMI21.5~24.9を目標とするように定めていますが、私はその基準もクリアしているわけです。これまで私は長年かけて、ありとあらゆるダイエット 法を試してきましたが、結局人間は食べる回数を減らすことでしか瘦せられないという結論に達しました。

食と栄養の専門家は「1日3食規則正しく食べなさい」と判で押したように諭しますが、現代人のように慢性的な運動不足で、夜は付き合いで誰かとお酒を飲む という生活を送っていたら、1日3食だと太ってしまうのは火を見るよりも明らかです。かといって、毎食控えめに食べるのも難しいこと。ならば、2食抜いて 1食は好きなように飲み食いするほうが長続きすると、私は実体験から確信を得たのです。

冒頭でお話したように私は瘦せるために1日1食を実践しているわけではありません。そもそも自分のやりたい仕事さえ支障なくきちんとできていれば、太るこ とはさほど悪いとは思っていません。もっとも、オペラというライフワークをやり遂げるには、太りすぎているのはよくありません。

オペラは興行収入だけでは赤字なので、それを補うために企業などからの協賛金が不可欠です。会食もそのためにあるわけですが、その席に太って年老いたヨボヨボの作曲家が現れたとしたら、誰一人として「こいつのオペラのためにおカネを出してやろう」とは思わないでしょう。

つねにスリムで同世代より若いファッションを身にまとい、外見的にも老け込まないことが、仕事をバリバリこなすうえで欠かせない要素となっているのです。

私の合言葉は、「孫を抱くより、女を抱け!」。私にもかわいい孫はいますが、孫をかわいがりすぎたら、心も体も緩んで正真正銘のジジイになってしまいま す。そうではなく、いくつになっても若い女性にアピールできるような外見でいることが大切。第一線から退いて表舞台に立たないというなら、ジジイになって も問題はありませんが、私は後世に残るオペラをまだまだ書き続けたい。怠惰な生活でブヨブヨに太っているわけにはいかないのです。

前述したように私の1日1食は朝・昼は漢方ドリンク、夕食は毎日のように会食で好きなだけ飲んで食べるという享楽的なスタイルです。これは私の生活スタイ ルと体質には合っていて、ベスト体重をキープできますし、体調も快適に保てますし、ライフワークであるオペラの作曲にも身が入ります。でも、誰もが私と同 じようなスタイルで1日1食が実践できるとは限りません。

そこで1日1食の提唱者の1人である医師の石原結實さん、1日1食の実践者で関連する著作も多いジャーナリストの船瀬俊介さんが実際に行っている1日1食法と、彼らがすすめる簡単な実践術について、以下に紹介します。

石原さんの1日1食は私と同じように、食事は夜だけで、朝・昼は水分中心で済ませています。この生活を365日、1日も休まずもう30年以上も続けている そうです。夜に会食があるときは、魚介類が食べやすいイタリア料理かスペイン料理にするとか。イタリア料理ではパスタやピザも召し上がるそうです。私は牛 肉や豚肉が中心の肉派ですが、石原さんは魚派のようです。

石原さんが実践しているメニューでポイントとなるのは、「ニンジンとリンゴのジュース」と「ショウガ紅茶」です。私がいつも飲んでいる漢方ドリンクは体質 に応じて漢方医に処方してもらう必要があり、それなりにコストもかかりますが、ニンジン、リンゴ、ショウガはいずれも近所のスーパーやコンビニでも手に入 りやすい食材ですから、手軽で真似しやすいでしょう。

■石原さんの1日1食メニュー

・ニンジンとリンゴのジュースコップ2杯

・ショウガ紅茶カップ1杯(黒砂糖かチョコレートとともに)

・ショウガ紅茶カップ1、2杯(黒砂糖入り、またはショウガ紅茶カップ1杯にショウガの漬け物、すり下ろしたリンゴ1/2個分)

・ご飯茶碗1杯、味噌汁、湯豆腐または納豆

・刺身、魚介類と野菜の炒め物または明太子1腹

・ビール大瓶1本+日本酒または焼酎1~2合

一方、船瀬さんは20代の頃から、肉を避けて魚を食べる「ペスコ・ベジタリアン」でした。日本人として自分の育った土地のものを食べる「身土不二」という 教えを実践し、和食を中心とした食生活を常時心がけてきましたから、1日1食の夕食も和ベジタリアンのルールが貫かれています。

そのキーワードは「まごはやさしい」。それは以下のように食材の頭文字を並べて、誰でも覚えやすくしたものです。外食ではなかなか摂れない「まごはやさしい」ですが、手作りすれば低コストで気軽に取り入れられます。

ま(豆・豆製品)

ご(ゴマ)

は(ワカメなどの海藻類)

や(野菜)

さ(魚介類)

し(シイタケのキノコ類)

い(イモ類)

最後に。1日1食は、胃腸がダメで食欲が落ちた年寄りにはすすめられないと私は個人的に思っています。消化管の機能が衰えると食べても消化ができなくなりますから、痩せている老人が1日1食だと、本物の栄養不足になる恐れがあります。

だから1日1食は、胃腸が健全で何をやっても太るという人たちに向いているのであって、食欲が落ちた老人がこれをやったら死期を早めます。年寄りになると自然に食えなくなるでしょう。

食えなくなったら死ぬというのが自然の摂理ですが、1日1食でそれを早める必要はないと思います。

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