首都圏の4都県・5政令市は26日、トラックの荷台に大型広告を掲示する「広告宣伝車」のデザインについて、統一的な規制のあり方を検討することで合意した。都県境をまたいで、派手な広告で風俗営業などを宣伝する車が後を絶たないため、広域的に連携して街の景観を守りたい考えだ。
この日、東京、埼玉、神奈川、千葉の4都県の知事と各県の5政令市長が参加する会議がオンラインで開かれ、小池百合子都知事が統一ルールの策定を呼びかけた。
広告宣伝車はイベントや商品のPRなどに広く利用される一方、過度に派手なデザインや大音量の宣伝が街の環境を損ねるとして問題化している。都は屋外広告物条例の施行規則で、都内で走行するには、公益社団法人「東京屋外広告協会」のデザイン審査で承認を受けるよう求めている。同協会は、〈1〉公共空間にふさわしい〈2〉街区の景観への配慮〈3〉人々に不快感を与えない――などを基本方針とし、3月末までに620台を承認した。
ただ、審査対象を都内ナンバーの車に限っているため、キャバクラ店やホスト募集など風俗営業の宣伝をする都外ナンバーの車が都心に流入するようになった。都は今年度中にも、施行規則を改正し、審査対象を都外ナンバーにも広げる方針だが、対策の実効性を上げるため、周辺自治体と足並みをそろえる必要があると判断した。
会議で小池知事は、「派手で発光を伴う広告宣伝車は、都市の良好な景観を損なう。交通環境の悪化を心配する声も届いている」と指摘。「宣伝車の多くは都県境を越えて行き来している。繁華街を抱える大都市の共通課題として、対策を講じる必要がある」と連携を訴えた。相模原市の本村賢太郎市長が「子どもたちへの影響が懸念される」と賛意を示し、実務者レベルの検討会の設置が決まった。今後、各都県市の広告宣伝車の実態把握などを進め、規制方法を協議する。