屋外用ロボット製造の炎(ほむら)重工(岩手県滝沢市)が、海上を自動航行する船舶型ロボット「マリンドローン」の開発に取り組んでいる。養殖用いけすの周囲を巡回し密漁を監視するほか、給餌をしたり海鳥を追い払ったりできる。今秋までに商品化する予定で、浜の人手不足解消に一役買いそうだ。
全長2.5メートルの小型ボートに、スクリュー制御装置を取り付けた。ガソリン燃料の船外機と発電機が動力源で、最大速力は4ノット。最長200時間の連続航行が可能だ。超音波センサーが岸壁や浮遊物を感知して衝突を回避する。
衛星利用測位システム(GPS)を活用し、設定した時刻になると入力した地点に移動。同一経路を往復したり、1キロ四方の範囲をランダム航行したりし、搭載カメラからリアルタイムで監視映像を陸地に送る。
最大150キロを積載することができ、いけすに到着すると船体に取り付ける餌の散布装置が作動。大音量を出し、いけすの魚を狙う海鳥を撃退する。
古沢洋将社長は「東日本大震災で被災した漁師たちの力になろうと、漁業分野のロボットの開発に乗り出した。東北の漁は冬場が特につらい。寒さを苦にしないロボットを役立ててほしい」と話す。