浜の担い手、呼び込もう 石巻・桃浦地区で「牡鹿漁師学校」

後継者不足に悩む浜の担い手を呼び込もうと、東日本大震災で被災した宮城県石巻市桃浦地区で、漁師たちが実践的に指導する「牡鹿漁師学校」が開かれている。参加者がカキ養殖などの漁業や地域の暮らしぶりを体感し、移住を考えるきっかけにしてもらう。
 住民でつくる「桃浦浜づくり実行委員会」が主催する学校は21~23日の3日間。仙台市や三重県などから20~50代の男女15人が参加している。自営業者や会社員、大学生などさまざまだ。
 初日に住民から生活や漁業について話を聞いた参加者は22日、桃浦漁港で漁船に乗り込んだ。沖合では漁師の手ほどきを受け、カキの稚貝を付着させたホタテの貝殻が通されたロープを海中につるした。最終日は刺し網漁を体験し、魚の調理法などを学ぶ。
 参加者の一人、不動産業の浅野達弥さん(57)は震災後、石巻市から仙台市に移った。「漁業会社を経営していたので、漁師に挑戦したい気持ちがある」と話した。
 桃浦地区の漁師の平均年齢は70歳近い。震災前に62世帯だった集落は5世帯まで減った。学校は、現状の打開を目指す実行委が初めて企画し、復興支援に携わる筑波大の貝島桃代准教授(建築デザイン学)の研究室などが支援した。
 参加者が移住を望んだ場合、地元の漁師らで設立した「桃浦かき生産者合同会社」で働いたり、漁師に弟子入りしたりすることを想定している。当面の住まいは空き家や下宿が候補に挙がる。貝島准教授は「1回で移住者が集まればいいが、なかなかハードルは高いと思っている」と述べ、今後も継続して開校する計画だ。
 講師役を務めた行政区長の甲谷強さん(84)は「若い人が多く、真剣に考えてくれている。2回、3回と学校を続け、取り組みを広げたい」と意気込んでいる。

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