海外、国内ともに伸び悩む 年末年始の旅苦戦

東北の年末年始の旅行商戦が、苦戦を強いられている。曜日の並びから最大9連休が取得できるが、消費税率引き上げや急激な円安に、衆院選(14日投開票)の影響が加わり、海外、国内ともに予約は伸び悩む。例年は満室となる東北の旅館やホテルも年明けを中心に空室が見られ、旅行各社は直前の駆け込み需要に期待をつなぐ。
 「海外は、好調だった昨年に比べると厳しい。『旅行しよう』という雰囲気が広がっていない」
 JTB東北仙台支店(仙台市)の吾妻秀俊支店長は全国の傾向と同様に落ち込む現状を明かす。
 前年同期比で1割減。ハワイ、欧州、台湾や、仙台空港発着のチャーター便が飛ぶタイは需要が見込めるが、国同士の関係改善が進まない中国や韓国は伸び悩む。
 「海外よりも沖縄の商品が好調。海外には昨年行ったからことしは行かない、と考える人が少なくない」と分析する。
 東北発の国内旅行も出足が鈍い。理由は衆院選。例年予約が増える時期と選挙戦が重なり、旅行気分に水を差した。
 近畿日本ツーリスト東北(同)の木村淳個人旅行事業部長は「選挙が終わり、やっと予約が入り始めた。今後どこまで伸びるか」と気をもむ。
 旅行先で人気が高いのはユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ、大阪市)。昨年を大きく上回っている。東京ディズニーリゾート(千葉県浦安市)がある首都圏も増えてきた。
 東北地方の域内旅行は空きが目立つ。大みそかと元日を除き、旅館やホテルに空室が残っている。各社は「年明けの予約はまだ可能」と利用を呼び掛ける。
 他地域から東北を訪れる旅行は、今月末まで大型観光キャンペーンを実施中の秋田県の伸び率が高い。楽天トラベル(東京)の宿泊予約者調査では、行き先として同県が前年同期比23.3%増となっている。

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