購入した覚えのない「謎の種」が、海外から自宅に届く案件が相次いでいるとして、植物防疫所が受け取った場合は同所に相談するよう注意を呼びかけている。アメリカでも同様の送りつけ被害が報じられ、一部では詐欺ではないかと言われている。 横浜植物防疫所の担当者によると、7月29日ごろから「注文した覚えのない植物の種子が海外から自宅に届いた」といった相談が相次いで寄せられているという。植物防疫法は、「植物を輸入した者は、遅滞なく、その旨を植物防疫所に届け出て、植物防疫官から検査を受けなければいけない」と定める。検査を受けていない海外の植物を郵便で受け取った場合にも、速やかに検査を受けることを義務付けている。 輸入時に検査を受けた植物は、外装に合格のスタンプ(植物検査合格証印)が押される。担当者は「外装に合格証印のない植物の小包が届いたら、そのままの状態で、最寄りの植物防疫所に相談してほしい」としている。また、こうした心当たりのない種子をプランターなどに植えないよう注意を呼びかけている。
■「ブラッシング詐欺」の可能性も
同様の被害は、アメリカでも報じられている。 ニューヨーク・タイムズによると、少なくとも27の州の農務省当局が、注文していない種子が送り付けられる事案が発生しているとして住民に注意を呼びかける声明を出した。これらの種子は、中国から郵送されたとみられている。郵便物の外装には、ジュエリーやイヤホン、おもちゃなどのラベルが付いていたという。 ホワイトハウス警察署は、公式Facebookで、種子の送り付けはオンライン詐欺の一つである「ブラッシング」詐欺の可能性があると指摘している。 アメリカの商事改善協会(Better Busibess Breau)のウェブサイトなどによると、「ブラッシング詐欺」は、安価な製品を相手の同意なしに勝手に送り付け、受取人のふりをしてアマゾンなどの通販サイトに高評価のレビューを書き込む手口。ネット上で製品の評価や認知度を高める目的がある。受取人に荷物が届くと、注文が完了したとみなされ、レビューをサイトに書き込めるようになる仕組みを利用している。受取人は発送した人物を特定できないという。アメリカの農務省も、「現時点では、今回の事案が『ブラッシング詐欺』以外の何かであるという証拠はない」との見解を示している。 ホワイトハウス警察署は「受け取ったとしても直接的な危険はない」としつつつ、種子を適切に処分するため届いた場合は相談するよう呼びかけている。