企業の海外インフラへの投資を支援する官民ファンド「海外交通・都市開発事業支援機構」(JOIN)が、巨額の累積赤字を抱えていることがわかった。ミャンマーやブラジルなどの事業が失敗し、2024年3月期決算で799億円の損失を計上。従来分を含めると955億円にのぼる。採算性が疑問視されてきた官民ファンドの是非が問われる。 【写真】「Yコンプレックス」の事業用地=2021年3月2日、ヤンゴン、ロイター JOINは14年10月に設立。官民ファンドとはいえ、民間の出資はわずか2%で、実態は国の丸抱えに近い。民間企業と共同で、途上国の街づくりや港湾整備などに投資し、今年3月末までの投融資額は2561億円にのぼる。この4割で回収のめどが立たない異例の事態となっている。 ミャンマーでは、ビルを建設する都市再開発事業「Yコンプレックス」などが国軍のクーデターで中断し、179億円の損失が出た。米テキサス州の新幹線建設事業でも417億円の損失が発生したほか、ブラジルの鉄道事業でも投資が回収できなくなっているもようだ。