海外クルーズ船を東北に 東経連が誘致に本腰

東北経済連合会が海外の大型クルーズ船の寄港誘致に力を入れている。3月に米国の見本市に初めて参加し、新潟を含む東北7県の8港を海外にアピールした。寄港実績で九州などの先進地に後れを取る中、訪日外国人旅行者を増やすための一手にしたい考えだ。

米フロリダ州マイアミで3月中旬にあった見本市「シートレード・クルーズ・グローバル2016」。クルーズ業界最大規模のイベントには世界93カ国の800以上の団体などが出展し、世界のクルーズ船運航会社に売り込んだ。
東経連は、青森、宮古、仙台、石巻、秋田、酒田、小名浜(いわき市)、新潟の8港を載せたパンフレットを作成。いずれも世界の主流を占める10万トン級の船が寄港できる港湾で、ブースを訪れた関係者らに港の規格や周辺観光、食の魅力を紹介した。
高橋宏明会長も米国、英国、イタリアなどの運行会社の幹部らと会い、誘致活動を展開した。担当者は「東北に高い関心を持ってもらえた」と語る。
東北の海外クルーズ船の誘致は始まったばかりだ。東経連によると、8港のうち2015年に寄港実績があるのは青森、秋田、新潟の3港だけ。船の大型化対応 も遅れ気味で、新潟が今年秋、酒田が来年に17万トン級の受け入れが可能になるが、残る6港は未対応だ。東北地方整備局によると、東北では2016年、延 べ66隻が寄港予定。一方、先進地の九州は、博多港(福岡県)だけで17万トン級を含む404隻を計画。外国船は東北が全体の4分の1にとどまるのに対 し、博多港は9割以上を占める。
クルーズ船で訪日した外国人は15年、100万人を突破。政府は20年までに5倍の500万人に増やす目標を掲 げる。東経連の小野晋常務理事は「世界の船会社はアジアの新しい寄港地を探している。これまで利用が少なかった東京-北海道間にある港湾のニーズは十分に ある。国や県などに港湾整備を促しながら誘致を進めたい」と話す。

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