海警法・領海侵入・米中対立…防衛白書、対中警戒あらわ

2021年版の防衛白書が13日の閣議で配布された。岸信夫防衛相が巻頭で中国海警部隊に武器使用を認める海警法施行に懸念を表明したほか、「米中関係」の節を新設するなど、軍事力の増強を続ける中国への警戒感が強く表れた内容となった。

 2月の海警法施行について、岸氏は「あいまいな適用海域や武器使用権限等、国際法との整合性の観点から問題がある」と指摘。「東シナ海や南シナ海などの海域において緊張を高めることになることは断じて受け入れられない」とした。

 本文内でも、沖縄・尖閣諸島周辺で領海侵入を繰り返す中国海警船の活動を「そもそも国際法違反」と20年版よりも踏み込んだ表現で批判。20年10月には過去最長となる57時間以上にわたり、海警船が領海侵入したと記した。

■「米中関係」の節を新設

 「米中関係」の節を新設したのは、両国の「競争」が国際情勢を考える土台になるため。安全保障上の機微に触れる技術などでの対立構図を紹介。「今後様々な分野において、米中の戦略的競争が一層顕在化していく」と分析した。

 台湾をめぐっては「核心的利益と位置づける中国が、米国の姿勢に妥協する可能性は低いと考えられる」と解説。「台湾をめぐる情勢の安定は、わが国の安全保障はもとより国際社会の安定にとっても重要」と初めて明記した。昨年は中台間の軍事バランスの変化について、「動向に注目していく必要がある」と記すにとどめていた。(松山尚幹)

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