海辺に交流の場復活 仙台市復興計画中間案

仙台市が16日示した震災復興計画の中間案には、重点的事業を抽出した10項目の「100万人の復興プロジェクト」が掲げられた。被災地と産業の再生をはじめ、防災、減災を担う人づくりまで、取り組みはハード、ソフト両面にわたる。
 「津波防災・住まい再建」では、市東部沿岸で津波被害の危険が高い地域の建築制限、集団移転に言及。深さ2メートル超の浸水が見込まれる危険地区への住宅の新築や増築を禁止するとした上で、宮城野区田子、若林区荒井の移転候補地と宮城野区岡田など3カ所の移転検討地区を示した。
 東部の土地利用の考え方は地図の通り。仙台港周辺を「港地区復興特区ゾーン」とし、沿岸に近い地域から「海辺の交流再生ゾーン」「多様な農地活用検討エリア」「農と食のフロンティアゾーン」と位置付けた。
 「市街地宅地再建」では、地滑りや擁壁崩壊が起きた丘陵地区の宅地復旧を進める方針を提示。国の支援対象外の宅地は、市独自の支援制度を検討する。
 東部の農業再生を図る「農と食のフロンティア」では、農産物の高付加価値化を目指し、農家による食品加工、流通、販売への参入支援を盛り込んだ。市場競争力のある野菜や花卉(かき)栽培への転換も促す。
 「海辺の交流再生」では、蒲生干潟や貞山運河など貴重な自然環境、歴史的資源の復元方針を明記。海岸公園のスポーツ施設や冒険広場、サイクリングロードを再整備し、市民の健康づくりや交流の場を復活させる。
 「都市活力創出」は、仙台港周辺で復興特区制度を積極的に活用し、新成長産業の集積を促進するため、各種規制緩和や財政支援を図る。環境や防災に関する研究機関の誘致にも取り組む。
 「防災・仙台モデル構築」では、避難所の運営や機能を見直す考えを打ち出した。児童生徒が防災力を習得する教育プログラムを開発し、国内外に発信する。
 「震災メモリアル」は、震災と復興を後世に伝える施設の整備を図るほか、犠牲者鎮魂のため東部地区にモニュメントを建立する方針を示した。

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