浸水地帯の救世主に 仙台「原町東部」雨水専用下水道6.5キロが完成

東日本大震災後、仙台市が整備を進めていた雨水専用下水道「原町東部雨水幹線」が完成し、4月から運用を始めた。若林区大和町から七北田川までの約6.5キロを結ぶ市内最長の雨水幹線。沿線一帯は土地が低く、大雨のたびに浸水する水害の常襲地帯で、昨年の台風19号でも住宅の一部損壊が相次いだ。市は雨水幹線による被害軽減を期待する。

 雨水幹線のルートは地図の通り。若林区大和町から同区卸町、宮城野区扇町を通り、高砂大橋近くの鶴巻ポンプ場につながる。雨水は同ポンプ場でくみ上げ、七北田川に放流する。
 雨水管は直径2.0~2.8メートル。「10年に1度」とされる1時間に52ミリの非常に激しい雨に対応し、沿線の浸水解消を目指す。市によると、台風19号は1時間に最大63.5ミリ、2017年9月の関東・東北豪雨は最大50ミリの雨量だった。
 雨水幹線の整備に伴い、鶴巻ポンプ場の増強も図った。雨水ポンプを3台増設し、排水能力を1秒当たり28立方メートル向上させ、全体で70.66立方メートルまで高めた。
 雨水幹線は東日本大震災で地盤沈下し、浸水被害の危険性が増したため、整備計画が浮上。12年度に着工し、シールドマシンで掘削を進めた。事業費は約117億円。鶴巻ポンプ場増強には約62億円を要した。
 農業用水路と雨水幹線をつなぐ取付管やマンホールなどの分水施設は、21カ所を整備するうち18カ所が完成した。残る3カ所も5月末には利用できる見通し。
 市内の大規模な雨水幹線は太白区の長町第1(約5.4キロ)、若林区の第2霞目(約4.2キロ)などがあり、原町東部は最大規模となる。市は本年度、JR仙台駅西口の冠水対策として広瀬川第3(約4.6キロ)の整備事業に着手する。
 市下水道計画課の水谷哲也課長は「雨の降り方により効果は異なるものの、原町東部の利用開始で、常襲地帯の浸水被害は軽減できるはずだ。分水施設も順次稼働させたい」と話す。

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