消える芸人、EXITがトップ 「第7世代」に世代の壁

2020年版「これから1年で消えると思う芸人」の1位はEXIT。「ブレイクした芸人」で1位になったが、同時に「消える」もトップ。ほかにも「第7世代」の若手芸人が多数ランクインしており、ブレイクの反動ともいえる結果となった。「―」は昨年20位圏外 © NIKKEI STYLE 「―」は昨年20位圏外

日経エンタテインメント!では、20年で17回目となるお笑い芸人の人気調査を実施。全国の男女1284人を対象に「一番好きなお笑い芸人」「一番嫌いなお笑い芸人」「この1年で最もブレイクしたと思うお笑い芸人」「これから1年で消えると思うお笑い芸人」の4項目で人気度を調査した(調査の詳細は「好きな芸人、サンドウィッチマン3連覇 3位劇団ひとり」をご覧ください)。

1位はEXIT。例年「ブレイク」で上位に入ると同時に「消える」の上位にもランクインする芸人がいるが、EXITもそのパターン。「第7世代といわれるお笑い芸人の面白さがさっぱり分からない」(45歳女性)という意見に代表されるように、フレッシュな感性によるネタは、世代の厚い壁があるようだ。

2位は「嫌い」でも6位だった木下隆行。理由は「キャラクターが悪くなっているから」(64%)がトップで、後輩芸人へのパワハラ報道の影響がここではもっと大きく表れた。男性票が女性票の1.4倍で、なかでも35歳以上の男性では1位。現在はYouTubeに力を入れている彼だが、受け入れる側の目はなかなか厳しい。数値は、その理由を選んだ割合(複数回答可)。「全体平均」は回答者全員(1000人)の平均値 © NIKKEI STYLE 数値は、その理由を選んだ割合(複数回答可)。「全体平均」は回答者全員(1000人)の平均値

3位は初登場のフワちゃん。理由は「ネタがつまらなくなっているから」(62%)が最多だった。この1年でバラエティへの露出が急増し、今では雑誌の表紙や地上波のMCなど、引く手数多の日々だが、「ノリで騒いでいるだけに見えて見苦しい。テレビでは芸を磨いている人をもっと見たい」(40歳男性)と大人世代からは厳しい意見が寄せられている。

このほか、初登場組は女芸人日本一決定戦『THE W』(日本テレビ系)で優勝した3時のヒロイン、赤いワンピース姿で武田鉄矢や大友康平らのモノマネをするりんごちゃん、『M‐1グランプリ』で躍進したぺこぱ、同じく『M‐1』で優勝したミルクボーイ。ネタで実力を示してきた顔ぶれに対しても、冷静に見ている人が多い。

■「笑いで人々の心を豊かに」という期待の声「―」は昨年20位圏外 © NIKKEI STYLE 「―」は昨年20位圏外

不祥事を起こした者、不用意な発言をした者、ネタが分かりづらい芸人など、「消える」に選ばれた理由は様々だ。そんななか、「コロナ騒動で世間が暗くなっている時にお笑い番組は癒やしてくれる効果があるとよく分かりました」(39歳女性)、「笑いで人々の心を豊かにして下さい」(51歳女性)といった声が今年は多かった。「嫌い」や「消える」に選ばれた芸人も、根本には人を笑わせたいという気持ちがある。その笑いを求める人がどこかに存在することを忘れてはいけないだろう。

(ライター 遠藤敏文)

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