消滅可能性自治体、東北は165市町村 地域ブロック別で最多 人口戦略会議試算

経済界有志らでつくる民間組織「人口戦略会議」は24日、全国自治体の持続可能性を分析した報告書を公表した。2020~50年の30年間で、東北は全体の7割を超える165市町村で若年女性(20~39歳)の人口が50%以上減少すると推計され、自治体の存続が困難とされる「消滅可能性自治体」となった。

「自立持続」は宮城・大衡村のみ

 全国で4割超の744市町村が消滅可能性自治体とされ、地域ブロック別では東北が最多だった。

 東北で消滅可能性があるとされたのは、県別に青森が40市町村のうち青森市を含む35市町村、岩手(33市町村)は26市町村、宮城(35市町村)は19市町、秋田(25市町村)は秋田市を除く24市町村、山形(35市町村)は28市町村。

 福島県は、東京電力福島第1原発事故の影響が残る13市町村を「浜通り」と一つの自治体として推計。47自治体のうち、浜通りを含まない33市町村が消滅可能性を指摘された。

 今回の推計は、14年に当時の「日本創成会議」が示した「消滅可能性都市」と同様、子どもを産む中心世代となる若年女性の人口減少率に着目。昨年12月に国立社会保障・人口問題研究所が公表した地域別将来推計人口を基に試算した。

 若年女性の減少率が東北で最も高かったのは青森県外ケ浜町の87・5%。これに同県今別町86・0%、同県佐井村85・2%が続いた。

 一方、減少率が最も低かったのは宮城県大衡村で15・2%。100年後も若年女性が5割近く残ると想定される自立持続可能性自治体に東北で唯一、区分けされた。次いで同県名取市17・8%、同県大和町24・5%だった。

 14年に東北で消滅可能性を指摘され、今回脱却したのが青森県は西目屋村と田舎館村、岩手が矢巾町、宮城は塩釜市、山元町、大衡村、美里町、秋田が秋田市、山形は天童市、南陽市、三川町の計11市町村。

 14年調査では896自治体が消滅可能性を指摘されていた。改善が見られたのは外国人の入国超過数の増加が主要因だという。

 人口戦略会議副議長の増田寛也日本郵政社長(前岩手県知事、元総務相)は24日に東京都内であった人口戦略シンポジウムで「少子化の状況は10年前と全く変わっておらず楽観視できない。東北は人口流出の是正と出生率向上の両方の対策が必要だ」と指摘した。

 [青森県]35市町村
 青森市、弘前市、八戸市、黒石市、五所川原市、十和田市、むつ市、つがる市、平川市、平内町、今別町、蓬田村、外ケ浜町、鰺ケ沢町、深浦町、藤崎町、大鰐町、板柳町、鶴田町、中泊町、野辺地町、七戸町、横浜町、東北町、六ケ所村、大間町、東通村、風間浦村、佐井村、三戸町、五戸町、田子町、南部町、階上町、新郷村

 [岩手県]26市町村
 宮古市、大船渡市、久慈市、遠野市、一関市、陸前高田市、釜石市、二戸市、八幡平市、奥州市、雫石町、葛巻町、岩手町、西和賀町、平泉町、住田町、大槌町、山田町、岩泉町、田野畑村、普代村、軽米町、野田村、九戸村、洋野町、一戸町、

 [宮城県]19市町
 石巻市、気仙沼市、白石市、角田市、登米市、栗原市、蔵王町、七ケ宿町、村田町、川崎町、丸森町、松島町、七ケ浜町、大郷町、色麻町、加美町、涌谷町、女川町、南三陸町

 [秋田県]24市町村
 能代市、横手市、大館市、男鹿市、湯沢市、鹿角市、由利本荘市、潟上市、大仙市、北秋田市、にかほ市、仙北市、小坂町、上小阿仁村、藤里町、三種町、八峰町、五城目町、八郎潟町、井川町、大潟村、美郷町、羽後町、東成瀬村

 [山形県]28市町村
 鶴岡市、酒田市、新庄市、上山市、村山市、長井市、尾花沢市、山辺町、中山町、河北町、西川町、朝日町、大江町、大石田町、金山町、最上町、舟形町、真室川町、大蔵村、鮭川村、戸沢村、高畠町、川西町、小国町、白鷹町、飯豊町、庄内町、遊佐町

 [福島県]33市町村
 会津若松市、白河市、喜多方市、二本松市、田村市、伊達市、桑折町、国見町、川俣町、天栄村、下郷町、檜枝岐村、只見町、南会津町、北塩原村、西会津町、猪苗代町、会津坂下町、三島町、金山町、会津美里町、泉崎村、棚倉町、矢祭町、塙町、鮫川村、石川町、玉川村、平田村、浅川町、古殿町、三春町、小野町

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