■国内出荷 冷蔵庫82・7%/洗濯機38・9%増
4月の消費税率引き上げが近づき、駆け込み需要がいよいよ本格化してきたようだ。日本電機工業会(JEMA)が24日発表した1月の白物家電の国内出荷実績は、前年同月比34・7%増の1772億円と8カ月連続のプラス。エアコンや冷蔵庫など、高級機種を中心に売れている。真冬の商戦が、次第に熱を帯びてきている。(米沢文)
「平日もお客さまが多くて、説明員の人手が足りないぐらいですよ」
“家電の激戦区”東京・秋葉原の家電量販店「ヨドバシカメラマルチメディアAkiba」。冬のボーナス商戦がとっくに終わったこの日も冷蔵庫や洗濯機、エアコンは売れ続け、スタッフが忙しそうに店内を駆け回っていた。
JEMAによると、1月の国内出荷額は記録が残っている平成9年以降では過去最高。昨年後半からの消費志向の向上に加え、増税前の駆け込み需要が底上げしているという。
品目別では、エアコンが47・0%増の462億円と8カ月連続のプラス。1月単月では昭和47年の調査開始以来、過去最高を記録した。このほか、冷蔵庫は82・7%、洗濯機は38・9%それぞれ伸びた。
旺盛な需要を取り込もうと、広告宣伝活動を強化するメーカーも出てきた。三菱電機は昨年11月からテレビCMを集中投下。今年度は寒冷地向けエアコンの販売に力を入れており、北海道と東北、北陸の地域ごとに作ったCMを公開している。その結果、同社のエアコンは20万円以上する最上位機種が前年比2倍以上の売れ行き。エアコン全体では3割増産を続けている。
シャープは地震の揺れに強い大型冷蔵庫が好調。ガラス素材を使った高級機種は601リットルで30万円前後するが、担当者は「指名買いも多い」と胸を張る。
パナソニックは1月の洗濯機販売が市場全体を上回る売れ行き。特に、温水洗浄機能がついた最新機種は前年の同等機種と比べ、1・8倍売れているという。
ただ、家電各社も左うちわで構えているわけではない。「前回(平成9年)の消費税率引き上げ時に需要は1~2割伸びた」(家電大手幹部)との声もあるが、今回は、来年10月にも10%への引き上げが予定されており、「需要動向が読みにくい」(同)というのが正直なところのようだ。熱い販売合戦を繰り広げながらも、各社は冷静に構えている。