消費振るわず値崩れ加速 テレビは1年前より3割安 最新パソコンも2割安

家電の代表格である薄型テレビやパソコンの値崩れが止まらない。40型のテレビは店によっては3万円台に突入。1年前より3割以上安く「1インチ1000円以下」が当たり前になりつつある。パソコンも売れ筋のノート型で昨年秋の新商品が半値近くになる異常事態だ。販売競争が激しくなる一方で、消費者の購入意欲は鈍く、価格が下げ止まる気配はない。
 「メーカーの余剰在庫を大量に買い付け、価格を下げている」
 大手家電量販店の担当者はテレビの値下がりの裏側をこう明かす。
 調査会社のBCNによると、薄型テレビの今年2月の平均単価は4万6900円。1年前の6万3800円から35%の急落だ。価格下落は地上デジタル放送に本格移行した昨年7月以降に加速。売れ筋の32型では2万円台前半の製品すら店頭に並ぶ。
 薄型テレビが1インチ1万円の壁を越えたのは平成16年ごろ。8年間で10分の1以下になった。
 量販店の値下げ努力もむなしく、販売は振るわない。電子情報技術産業協会(JEITA)が21日に発表した統計によると、薄型テレビの2月の国内出荷台数は前年同月比64%減の58万5000台。7カ月連続で前年を割り込んだ。
 東京都千代田区のビックカメラ有楽町店は、昨年末から集客力の高い1階にあったテレビ売り場を、最も狭い2階へ移した。1階はスマートフォン(高機能携帯電話)売り場になった。
 量販店は、メーカーから販売奨励金を受け取っており、黒字は確保できているとされる。しかし価格交渉で不利なメーカーは「作れば作るほど赤字」の状況だ。テレビ事業が24年3月期に8期連続の赤字となるソニーは「数をさばく」戦略を事実上、放棄。新年度は新製品の投入機種数をほぼ半分に絞る。
 パソコンでは、ノート型で人気のA4サイズで値下がりが激しい。昨年秋に発売されたモデルの中には発売時の半値に近い「7万円台」の値札をつけるものも出てきた。年明けに発売された新モデルもすでに、最大で2割安くなっている。
 5万円前後で販売されるスマートフォンやタブレット型端末の値下がりが進めばいっそうの脅威になるのは確実。秋には米マイクロソフトの新OS(基本ソフト)「ウィンドウズ8」が登場し、特需を期待する声も上がるが、大手メーカー幹部は「この勢いでは価格下落の歯止めにならないかもしれない」と気をもむ。

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