消費税引き上げでマイナス成長の中 外食“持ち帰り戦争”が過熱

消費税が引き上げられてから、4カ月余りがたった。

17日、景気の冷え込みが広がっていることが明らかになった。

そんな中…。

外食チェーン「大戸屋」で、一番人気の定食メニュー「鶏と野菜の黒酢あん定食」は、値段は税込みで890円。

ただ、これをテークアウトすると、800円となり、90円お得になる。

この消費増税で生まれた、持ち帰りと店内での90円の差額をめぐって、外食業界で今、熱い戦いが繰り広げられている。

オープン前で、シャッターの閉まった飲食店。

しかし、奥の厨房(ちゅうぼう)は、大忙し。

何をしているのかというと…。

中では、テークアウト用のお弁当を作る作業が着々と進められていた。

さらに、埼玉・川口市のステーキ店でも、用意していたのは店内用ではなく、テークアウトのメニュー。

いったいなぜ、テークアウトだらけなのか。

17日に発表された、2019年10月から12月のGDP(国内総生産)の速報値。

年率換算で、-6.3%と、5四半期ぶりのマイナス成長に。

消費増税などの影響を受け、個人消費が落ち込んでいることがわかった。

街では「今までより外食をちょっと控えたり」、「ちょっと気にしちゃいますね。『持ち帰りで…』と。イートインとかついてても」などの声が聞かれた。

消費税率10%の外食に対して。

定食チェーン「大戸屋」では、軽減税率で8%に据え置かれたテークアウトを重要視。

増税を機に、持ち帰りメニューを拡充するとともに、一部の容器を、中身がこぼれないように改善した。

“テークアウト弁当”購入客は、「やっぱり消費増税後、価格の面に関しては敏感になったなというのは感じます」と話した。

では、店内と持ち帰りでは、どちらがお得なのか。

人気No.1メニューの「鶏と野菜の黒酢あん」で比較した。

まず、店内の場合は、ご飯やみそ汁、ミニサラダなどがついて、税込み890円。

一方、持ち帰りの場合、みそ汁やサラダはつかないが、ご飯やおかずの量はそのままで、税込み800円。

店内で食べるよりも、90円安い価格設定。

「大戸屋 六本木一丁目店」では、1日あたりの弁当販売数が増税前よりも2割ほど増えたという。

テークアウト強化の流れは、すかいらーくグループや、くら寿司など、多くの外食チェーンに波及。

全国に137店あるレストラン「ステーキ宮」でも。

創業46年の歴史の中で、初めて定食メニューのテークアウトを始めた。

店内では、「家ではステーキを上手に焼けないので、手軽にテークアウトできればいいかな」との声が聞かれた。

例えば「ひとくちてっぱんステーキ」の場合、店で食べると、1,969円。

持ち帰りなら、中身はまったく同じで1,825円と、144円お得。

さらに、テークアウトを注文すると、待っている間にドリンクバーが無料になるサービスも導入。

増税ショックや新型コロナの影響拡大が懸念される中、売る側にも買う側にも、新たな知恵が求められている。

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