深夜の夜食”が糖尿病を作り出す

深夜になると腹が減るというお父さんは多い。しかし、それが血糖値を高め、糖尿病を作り出す大きな要因となる。いま「夜食」を食べながらこれを読んでいるお父さん、大丈夫ですか?
 Nさん(45)は数年前から会社の健診で「血糖値がやや高め」と指摘されていた。検査の前1-2カ月の血糖値の状態を見る「ヘモグロビンA1c(HbA1c)」の値は、昨年までは「6・5」前後。基準値は「5・8以下」だからオーバーしてはいるが、すぐに治療を始めるレベルでもない。医師からは「十分注意してください」と言われるだけで、当人もそれほど深刻に考えてはいなかった。
 ところが今年の健診で彼のHbA1cは赤マル急上昇。「10・8」と、一気に2ケタの大台に乗ってしまったのだ。
 背景にはストレスがある。妻の母親が脳梗塞で倒れ、退院はしたが大きな麻痺が残ってしまった。それで週の大半を妻が実家に泊まり込んで世話をすることになり、Nさんは慣れない家事に奮闘中。
 帰宅すると夕食の準備。カレーやら野菜炒めやら“学生料理”しかできない上、男の料理だから量が多いし味も濃い。
 でき上がると急いでそれを食べて、今度は塾に行っている娘を迎えに車で出かける。帰るとようやく酒が飲めるので、さっき「夕食」は食べたばかりだが、今度は娘と一緒に「晩飯」を食べる。その後片づけをして風呂に入り、日付が変わる頃、今度は「夜食」と称して晩飯の残りをつまみながら焼酎を飲む。そりゃ、血糖値も上がるというものだ。
 そんなNさんについて、北里大学北里研究所病院糖尿病センター長の山田悟医師はこう解説する。
 「精神的なストレスから暴飲暴食になって血糖値を高める典型的な例。糖尿病治療の原則は、1に食事、2に運動、3、4がなくて、5に薬。Nさんの場合はまず食生活を見直すだけでもだいぶよくなるはずです」
 一晩で3回も同じ料理を食べるNさん。さすがに朝は「胸やけがする」と言って朝食抜きで出かけることが多いという。
 “不健康”を絵に描いたような彼の生活はいつまで続くのか…。(長田昭二)

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