混雑した乗り物での通勤は避けたい…世界で自転車ブーム 生産追いつかず

【AFP=時事】何か月も続いた新型コロナウイルスによるロックダウン(都市封鎖)後に、混雑したバスや電車での通勤を避けるため、または健康な体を取り戻すため、世界中で自転車ブームとなっている。

 だが多くの国で自転車の売り上げが爆発的に伸びたため、自転車メーカーや小売店は需要に追いついていない。

 フランスのパリではアンヌ・イダルゴ(Anne Hidalgo)市長の尽力により、自転車用道路がここ数年で増加した。だが、新品の自転車を手に入れるには何週間も待たなければならない状況だ。

 パリの小規模小売業者フェデリコ・モスカ(Federico Mosca)さんはAFPの取材に「この3~4週間、十数人の顧客を待たせている。いつ自転車が入荷するかまったく見当がつかないため、返金しなければならなかった客も何人かいる」と語る。

 フランスのスポーツとサイクリングの連盟によると、自転車の今年5月、6月の売り上げは、昨年同期に比べ倍増した。

 自転車の売り上げは、世界のほとんどの国で上昇している。

 仏スポーツ用品小売り「デカトロン(Decathlon)」によると、自転車の売り上げは欧州全体で「2倍さらには3倍にまで増加」している。

 中国ではロックダウンの緩和以降、需要が5倍に急増した。

 米国でも自転車の売り上げは爆発的に増えている。5月のオンライン購入だけでも昨年同期比5000%増となった。

 米自転車メーカーと小売業者の連合である「ピープル・フォー・バイクス(People for Bikes)」によると、米国でのオンラインと店頭の売り上げは今年5月、前年同期比81%増の11億ドル(約1160億円)に達した。

■ロックダウンで部品調達困難に

 だが需要の急増に加えロックダウンの影響で、欧米のメーカーは部品調達が困難になっている。

 欧州自転車産業連盟(Confederation of the European Bicycle Industry、CONEBI)の推計によると、欧州で販売される自転車部品の45~50%はアジアからの輸入だ。

 欧州自転車製造者協会(European Bicycle Manufacturers’ Association、EBMA)の事務局長モレノ・フィオラバンティ(Moreno Fioravanti)氏は、業界では「3か月分の部品生産が失われ、備蓄はわずか2か月で使い果たした」と語った。

 米カリフォルニア州に5店舗を持つ「サミット・バイシクルズ(Summit Bicycles)」のマーケティング部長パンチョ・ピメンテル(Pancho Pimentel)氏は、自転車は「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)により中断されたグローバルサプライチェーンに依存しており、その影響はあらゆる部門に出ている」と指摘する。

 CONEBIによると昨年は、欧州に主に台湾とカンボジアから730万台の自転車と電動自転車が輸入された。

 台湾を拠点とする自転車製造大手「ジャイアント(Giant)」によると、6月の欧州の売り上げは、前年比140%増となった。特に電動自転車の売り上げ急増が寄与したという。注文は来年前半までいっぱいとなっており、後半も引き続き見通しは明るいという。

【翻訳編集】AFPBB News

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