東京都中央区で建設中の超高層マンションでコンクリートの強度不足が発覚し、販売延期となっていた件で、設計・施工を手掛けた清水建設が2024年7月23日、是正工事を終えたと発表した。強度不足の原因として、コンクリートの原材料となる粗骨材の強度にばらつきがあったことも明らかにした。
トラブルの舞台となったのは、東京都中央区で建設中の「ザ 豊海タワー マリン&スカイ」(以下、豊海タワー)。清水建設によると、今回の是正工事が原因による工期遅延は発生しておらず、予定通り26年11月下旬に引き渡す方針だとする。
建設中の「ザ 豊海タワー マリン&スカイ」(豊海タワー)。工事は着々と進んでいた。2024年7月26日撮影(写真:日経クロステック)
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豊海タワーは、都営地下鉄大江戸線の勝どき駅から徒歩10分ほどの場所で建設が進む2棟の超高層マンションで、「豊海地区第一種市街地再開発事業」の核となる施設だ。いずれも地下1階・地上54階建てで、高さは約189m、延べ面積は計約23万m2だ。計2046戸の住戸の他、店舗、区民館、保育所などが入居する計画で、工事監理は清水建設と安井建築設計事務所による監理共同企業体(JV)が担当。23年1月4日に着工した。
清水建設は、粗骨材の材料となる天然原石の採掘場所を広げたため、従来よりも強度にばらつきが発生したと説明する。同社が実施した粗骨材の品質検査では、問題にならない程度のばらつきと判断していたが、結果的にコンクリートの強度に影響が出てしまった。
強度が不足していたのは、豊海タワーの地下1階と地上1階のコンクリート柱だ。コンクリートを打設した後、強度を確認するためにテストピースの破壊検査を実施したところ、一部のピースで強度が基準値を下回っていた。
問題発覚後、清水建設はテストピースの検査結果を反映した上で、構造計算を改めて実施。強度不足を確認した地上1階にある1本の柱の柱脚部分を再施工すれば、構造安全性を確保できることを確認したという。その後、24年7月初旬には柱脚をつくり直す是正工事が完了。構造安全性については、第三者機関の性能評価を受けた。
清水建設は、「今回起こった事象はこのプロジェクト固有のものであるため、他物件への影響や懸念はないと考えている」とする。一方、豊海タワーで使用した粗骨材を他の物件でも使用しているかどうかは明らかにしなかった。