11月22日にリニューアルオープンする「渋谷パルコ」。ファッションや飲食店など193のテナントの中で、目を引いたのが「日本初」というスニーカーウォッシュ専門ブランドの店舗です。
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商業施設の中で提供されるスニーカー洗濯サービスとは、どのような内容でしょうか。メディア向けに開かれた内覧会の様子から探ります。
店内に設置された洗濯機 スニーカー洗濯サービスはどう違う?
店名は「Licue&Sneakers(リクエアンドスニーカーズ)」。渋谷パルコの4階にショップを構えます。運営するのは、100%水洗いクリーニング店「Licue(リクエ)」や、洗濯代行サービス「WASH&FOLD(ウォッシュアンドフォールド)」を展開するアピッシュ。同社の担当者によると、スニーカー洗濯の専門ブランドは日本初だといいます。
利用の流れは、一般的なクリーニング店と同じです。専門スタッフがスニーカーの状態を確認。汚れ具合や素材や形状に合わせて、洗い方を提案します。後日、キレイになったスニーカーを店頭で受け取れます。
使用する洗濯機は、コインランドリーなどに置かれる業務用の機種。水洗いする際には、スタッフがシリコンで作られた特殊なスポンジを、ドラム内に隙間なく詰めます。「通常のスポンジよりも重く、硬いため、スニーカーとの摩擦面を増やすことで、汚れをさらに落とせる」(担当者)といいます。「スニーカー洗濯を習慣化したい」
洗剤は素材に合わせたものを使用するため、生地を痛めることなく汚れを落とすことができるそう。最もベーシックな機械洗いと乾燥だけのメニューは1足700円(税別)。洗濯後は、オゾンを発生させる独自開発の乾燥機で殺菌・防臭。自宅ではできない「サッパリ感」が感じられるということです。
ソールの下処理など、全てキレイに仕上げたい人に向けたコースのほか、防水、防臭などのサービスもあり、自分にあったメニューを選ぶことができます。いくつもの素材を使用した特殊なスニーカーや、こだわる人向けに、洗濯機を使わない手洗いメニューもあるということです。
日本であまり馴染みのないスニーカー洗濯サービスですが、海外では広がっていると説明するのは、アピッシュの山崎美香社長。
同社の洗濯代行サービスでは、約半分ユーザーが服だけでなく、スニーカー洗濯も利用しているといいます。山崎社長は「スニーカー洗濯を新しい文化として習慣化していきたい」と語ります。
盛り上がるレアスニーカー市場
この店舗のほかにも、渋谷パルコにはスニーカー関連のショップが複数入店しています。その背景にあるのは、スニーカー市場の盛り上がりです。
「レアスニーカー」と呼ばれるものは、定価以上の金額でフリマアプリなどで取引され、定価の40倍ほどの値がつくことも。株式投資やFX投資のように「スニーカー投資」をする人もいます。
スニーカーは90年代、芸能人が履いていたことがきっかけで人気に火が付き、「エアマックス狩り」などの社会現象となりましたが、現在のスニーカーブームは少し異なるようです。
現在のレアスニーカーの多くは、ミュージシャンやデザイナーとコラボレーションしたモデル。スニーカーに別のカルチャーという付加価値が加わった商品に人気が集まっているようです。オタク文化とスニーカーの融合も
5階にオープンした「BAIT(ベイト)」は、カリフォルニア発のスニーカーやフィギュアを取り扱うショップ。漫画やアニメなど、オタク文化と呼ばれるものをスニーカーファッションに取り込んでいます。
同店のスタッフは「レアスニーカー目当てに来店する方が多いと思うが、それに加えて、オタク文化と呼ばれるようなポップカルチャーを発信する場所になっていければ」と話します。
また、「渋谷パルコ」という場所について「スニーカーや、オタク文化などのカルチャーの発信地としてすごくマッチしている」といいます。今後は渋谷パルコ内で、同じカルチャーを持つ店舗同士の横のつながりも作っていきたいと考えているようです。
内覧会で報道陣の取材に対して、「渋谷パルコで感銘を受けた人が、新しい時代を作る循環を生み出していきたい」と語っていたパルコの牧山浩三社長。アートやデザインといった、新たなカルチャーを生み出す場所になることができるでしょうか。
川高元輝(MONEY PLUS編集部)