神奈川県の湘南地域で海の家の一部が大音量で音楽を流すなど「クラブ」化しているのを受けて、同県逗子市は28日、スピーカーなどで音楽を流したり、砂浜で飲酒したりすることを禁止する方針を明らかにした。
市は今夏からの実施を目指し、海水浴場の使用ルールを定めた条例改正案を2月議会に提出する。
逗子市によると、条例で音楽を禁止するのは全国でも珍しく、湘南地域では初めて。
対象は、公設の逗子海水浴場。逗子市では2008年、「安全で快適な逗子海水浴場の確保に関する条例」を制定したが、「他の利用者の妨げとならないよう配慮する」などにとどまり、具体的な禁止項目は設けていなかった。
昨年夏には、近隣住民から、酔っぱらいの叫び声や大音量の音楽などの騒音、ごみや臭いなどの苦情が寄せられ、逗子市は、「治安悪化」ととらえて対応を検討していた。
改正案には、〈1〉オーディオ機器などを使った音楽の禁止〈2〉海の家以外での飲酒禁止〈3〉砂浜でのバーベキューの禁止〈4〉入れ墨・タトゥーの露出禁止――などを盛り込んだ。罰則はないが、警備員の指導に従わない場合、市が海水浴場からの退去命令を出すことができる。
湘南地域の海の家を巡っては、ほかの自治体などにも苦情が相次いでいる。神奈川県藤沢市では、片瀬西浜・鵠沼海水浴場を管理する「江の島海水浴場協同組合」が昨夏、海の家で音楽を全面的に禁止する自主規制を実施。鎌倉市も昨夏、音楽イベントの自粛を要請するなどしている。